1970年代テイストの考察

映画を観てきました。

レオ様とブラピのダブル主演の話題作を観てきました。

典型的なミーハー映画ですが、その割には面白かったです。
いや、面白かったというよりかは心地よかったかな?

映画自体は、たわいもないストーリーです。
しかし、全編に流れる1970年代テイストが、もうたまらない郷愁でした。
なんというか、できの良いプロモーションビデオを観ている感じですね。
動画で入手して、PC画面の片隅で流しておきたいような作品です。

1970年代は子供でした。

私にとっての1970年代は、物心ついてから小学校を卒業するまでの期間になります。
ちょうど、子供時代ということですね。
今にして思うと、実にアグレッシブで粗暴な時代だったと思います。

この時代、オートバイ乗りというのはイコール、暴走族でした。
エコといった価値観も皆無でしたね。
あらゆるクルマやオートバイが、その暴力的ともいえるパフォーマンスを競っていました。

暴力団の世界も興盛で、ヤクザという肩書の人が普通にいた時代です。
コミックやアニメの世界でも、番長と呼ばれるアンチヒーローが必ず存在していました。
勿論、彼らが繰り広げる暴力沙汰の描写は、どんな作品でもお約束でしたね。

学生運動も盛んでした。
テロ事件も多かったですし、内ゲバといった血生臭い話も聞こえてきました。
大学生になったら髪を伸ばしてあんなことをするのかなぁなんて、漠然と思ったものです。

男になる、とか、男をあげる、なんてフレーズもよく耳にしましたね。
暴力で物事を解決するということが、当たり前に行われていた時代です。

公序良俗の部分も、今とは比べ物にならないぐらい悪かったです。
小学校までの通学路には、ポルノ映画のポスターが大々的に掲げられていました。
ある意味、現代の中国よりもカオスだったように思います。

まだ、戦争の影が色濃い時代

今回の映画を観て、この雰囲気はアメリカも同じだったんだなぁって思いました。
それはベトナム戦争しかり、ヒッピーしかりです。

よく考えれば、戦争が終わってまだ25年ですからね。
戦争経験を持つ人が、まだまだ現役の時代です。
個人的には、これが大きく影響しているように思いますね。

1980年に入るころから急激に、世の中はお行儀よくなってきます。
これも、戦争経験者がリタイアする時期に重なっているのだなぁと最近気づきました。
つくづく、時代というのはそこで生きる人々が築き上げるものなのですね。

荒っぽいけどおおらかな時代

ちなみに、若い頃はこの1970年代の雰囲気が苦手でした。
ぶっちゃけ、世の中とは血生臭くて怖いモノというイメージでしたからね。

’80年代に入っての、アンチ’70sも凄かったと思います。
長髪やベルボトムのパンツ、ありとあらゆる’70sアイテムが否定されました。
多感な時期にこの洗礼を受けた私は、今でも’70sファッションには抵抗があります。

暴力を美化する雰囲気はまだありましたが、それも1990年の初めには下火になりましたね。
お陰様で、ヘタレな私でもなんとか渡っていける社会になったという感じです。
本当に、良い世の中になりましたね。

ただ、今と比べると、昔はおおらかなところもありました。

1970年代当時は、あおり運転など全然問題なしでした。
飲酒運転も、そんなに厳しくはありませんでしたね。
どこでもタバコが吸えました。
生産性の向上なんでことをガリガリ言われたりもしませんでした。

今の中国が、この雰囲気に近いですね。
このおおらかさは懐かしく、なかなか心地が良いモノです。

でもまぁ、それでも今の方が良いですね。
古今東西、時代は下れば下るほどよくなるモノです。
良い時代になっているから、昔を郷愁として楽しめるのでしょうね。

映画の〆は、タランティーノお得意のバイオレンスシーン。
痛快なラストシーンを楽しみながら、遠くなった1970年代に想いを馳せるのでした。