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雑記

IOWN構想と、よくわからない戦略話

投稿日:2021年1月11日 更新日:

先日の日経新聞に、NTT再編の記事が掲載されていました。
NTTグループとは少しお付き合いのある身なので、興味深く読んでみました。
でも、正直よくわかりませんでした。
その辺りのことを、かつての企画屋視点で書いてみたいと思います。

ドコモがコミュニケーションズを吸収するそうです。

日経新聞の電子版を購読しています。
購読していると、毎朝お勧め記事のメールが届きます。

いつもは斜め読みでごみ箱ですが、気になる記事が目に留まりました。
なんでも、NTTがドコモとコミュニケーションズの統合を検討しているとのことです。
今のお仕事はコミュニケーションズ絡みなので、ちょっと気になりますね。
ということで、リンクをクリックして記事を読んでみました。

記事によると、NTTはIOWNという次世代技術で、世界に打って出るつもりのようです。
GAFAの対抗軸を目指すということですから、なんとも壮大ですね。

それで、その推進企業となるのがドコモなのですが、どうも法人向けが弱いとのこと。
ドコモは単なる端末屋さんで、システム提案などのソリューション力が低いらしいのです。
そこで、システム開発力のあるコミュニケーションズを取り込むということらしいですね。

このお話、ぱっと見は筋が通っているように見えます。
でも、かつて事業企画をしていた身からすると、かなり疑問符だったりします。
それではその辺りを、もう少し詳しく掘り下げてみたいと思います。

IOWNとはいったい何?

このお話のキーになるのは、IOWNというNTTの次世代技術です。
GAFAの対抗軸を見据えるための最重要アイテム、さっそくググってみました。

検索すると、NTT研究開発のページが出てきます。
正直、想像よりも難解だったのですが、要約すると以下のことのようです。

  • 電子回路に代わる光回路技術(オールフォトニクス・ネットワーク)
  • 現実と瓜二つの仮想空間(デジタルツインコンピューティング)
  • AIなどを活用した通信サービス(コグニティブ・ファウンデーション)

また、TCP/IPに代わる、新たな通信プロトコルの提供も含まれているようです。

それで、ぶっちゃけこの中で見どころがあるのは、光回路技術だけですね。
その他の仮想空間や通信サービスは、正直いって普通です。
この先、黙っていてもそうなるだろうという内容で、イノベーションではないですね。

ということで、IOWNについては、なんとなく概要は掴めました。
ところが、これがGAFAの対抗軸になるというストーリーが、まったくみえてきません。

そもそも、光回路や通信サービスは、デバイスでありインフラです。
自動車でいえば、エンジンの部品や工作機械のようなモノですね。
つまり、土俵がまるで違うということです。
自動車なら、工作機械メーカーがNC旋盤でトヨタの対抗軸を目指す、ということなのです。

これでは、話としてちょっと理解不能ですね。
これが、この記事を読んで最初に感じだ疑問点なのでした。

ビジネスモデルがないと思います。

また、IOWNには、ビジネスモデルがないと思いました。
要は、これでどうやってお金を稼ぐのか、よくわからないのですね。

まず、誰でも思いつくのがライセンス料ですが、これは絶対にうまくいかないと思います。
TCP/IPのインターネットがこれだけ普及したのは、それが無料で使えたからです。
QRコードも、開発元のデンソーがライセンス放棄したことで、やっと普及しました。

この手は、無料でオープンにしないと普及しませんし、普及しなければ無意味です。
なので、いくら心血注いで光回路やプロトコルを開発しても、商売にならないと思うのです。

日本は、この手の技術は輸入国だという論調もありますが、だから何?という感じですね。
それよりも、このような無料でオープン、かつ普遍的な技術を使って何ができるかでしょう。
そして、それこそがGAFAの対抗軸だと思うのですけれど、どうも論点のズレを感じます。

いずれにしてもIOWN、ピンとこない戦略ですね。
オールフォトニクス・ネットワークといったネーミングも、ぶっちゃけ微妙です。
そしてピンとこない戦略は、一般的には残念な戦略であることが多いのですよね。

お上品な企業に海外進出は難しい

ということで、やはりNTTに海外進出は難しいと感じました。
そもそも、世界市場という荒野を開拓するには、NTTの企業文化は上品すぎると思います。

記事には、iモード世界進出の話も載っていましたが、IOWNも同じ轍を踏むことでしょう。
iモードについては、あれで世界進出できると思っていたところからして信じられませんね。
井の中の蛙、ここに極まりだと思います。

2000年当初、田舎住まいの私でも、将来の端末はスマホになると確信していました。
ましてや、iモードのあの使い勝手の悪さです。
スマホ登場で駆逐されるのは必然、ゲームチェンジ以前の問題だったと思いますね。

でも、そんなiモードの世界進出に、1.5兆円もの投資をしてしまうNTTです。
やはり、優等生ぞろいのお上品な企業だからだと思いますね。
泥臭い現状認識ができないまま、教科書通りにコトを進めてしまったのでしょう。
これが、ソフトバンクや楽天なら、もう少し違った展開だったかもしれません。

そして、そのソフトバンクは、この巨大NTTの再興を警戒しているとのことです。
個人的には、これが本件の本質のような気もしますね。

結局のところ、優等生揃いでプライドの高いNTTです。
これ以上、ソフトバンクなど新興勢力の後塵を浴びるのは、我慢がならないのでしょう。
それで、IOWNを体のいいエクスキューズにして、規模で優位に立っておきたいと。
状況的に、思わずそんなうがった見方をしてしまう私なのでした。

海外進出など、することないと思います。

もちろん、NTTという企業グループは素晴らしいと思います。
私も、お勤めするなら、NTTのように上品でホワイトなところに勤めたいです。

そんなNTTは、今後も日本国内の通信インフラ企業として堅く存続すればよいと思います。
GAFAなどに対しては、引き続き国内市場の受け皿として、共存共栄でいくべきでしょう。
それを、ICT企業として世界に打ってでるとか、ましてやGAFAと対抗するとか。
そんなことをする必要は、どこにもないと思いますけどね。

でも、国内通信ベンダーの雄として、世界に打ってでるべきという想いがあるのでしょう。
この辺りが、やはり世間知らずの優等生という感じですね。

昔は、NTTがけん引役となり、国内の機器メーカーがそれに続くという図式もありました。
でも、もはやいまは、そんな時代ではありません。

いずれにしても、このIOWNに携わる人は、本当にお疲れさまだと思います。
そして、私がNTTの社員なら、絶対に関わりあいたくないですね。

最近は、このような記事を読むと、それだけで疲れてしまいます。
そんな私は引き続き、海外進出とは無縁の立場で、お気軽に生きていきたいと思います。

※2021/01/13 追記
昨日のNHKニュースウォッチ9でも、この件が取り上げられていましたね。
それによると、GAFAは通信インフラ分野への進出を目論んでいるとのことです。
なるほど、それならNTTの危機感も、少しは理解できます。

でも、寡占状態で当局の縛りも厳しい日本の通信インフラ業界です。
ここに、いまさらGAFAが進出するメリットってあるのでしょうかね?

また、通信インフラ事業は、その土地土地の地理状況によっても展開が違います。
アメリカでGAFAの通信インフラが待望されるのは、あの広大な国土ゆえのこと。
それとIOWNのつながりは、やはり見えないですね。

ということで、やっぱりよくわからない戦略という結論は変わりませんでした。
ちなみに、有馬キャスターの見立ても同じ感じで、ちょっと笑ってしまいましたね。
いずれにしても、NTTのIOWN構想、今後もゆるく見守っていきたいと思います。

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