大学院は大変なところ?

2025年2月16日

朝日新聞デジタルで、大学院生のメンタルについての記事を読みました。
大学院生はメンタル的に大変で、心を病んだり自死する人も後を絶たないようです。
かつて、大学院生にはお気軽なイメージもありましたが、今は時代が違うのでしょうか。
このあたりのことについて、想うことをつらつらと書いてみたいと思います。

今どきの大学院生は大変なのでしょうか?

朝日新聞デジタルで、大学院生のメンタルについての記事を読みました。
大学院生はメンタル的に大変で、心を病んだり自死する人も後を絶たないようです。
なるほどと、すこし思い当たるトコロがありましたね。

かつて、大学院生といったらお気軽なモラトリアムというイメージがありました。
授業もすくなく研究室では先輩の立ち位置で、自身の研究をマイペースで進めればOKです。
そして、マスター卒の肩書で、誰もが羨む研究職の立場で就職ですね。
かつては、私もマスター進学に憧れたモノでした。

ただ、最近は苦労するマスターやドクターの話を耳にすることも多くなったように感じます。
やっとみつけた居場所も、成果次第ではすぐに失うことになってしまうとのこと。
薄給で気づけば妙齢、いまさら一般企業への就職も難しく、これでは人生の袋小路でしょう。
ぶっちゃけ、優秀な方々がなぜにこんな苦労をするのか、正直謎ですね。

これについては、アカデミック界を客観的に俯瞰すれば見えてくるモノがあると思います。
結論からいうと、あの業界は傍から見るほど楽な世界ではないというコトですね。
もっといえば、モンスターがうようよの、ジャングルのようなトコロということです。
正直、メンタルがあまり強くない人には、とてもきびしい環境だと考えられますね。

大学は、プライドでしのぎを削る閉鎖的な村社会。

記事では、院生と指導教官の関係を、中小企業のワンマン社長と派遣社員に例えています。
これは、まさに言い得て妙だと思いますね。
要は師弟関係というヤツですから、教官の立場はどうしても絶対になることでしょう。

そもそも、大学の指導教官になるぐらいの人は、子どもの頃から優秀ですからね。
小中高と成績は学年でトップクラス、周りからもチヤホヤされ続けています。
そして、そのプライドは高層ビルのように高く、もうそれだけで一筋縄ではいかない感じですね。

しかも、彼らは負けず嫌いで、寝食を惜しんでの勉学もいとわない猛者の側面もあったりします。
それゆえに、優秀で強靭なメンタルを持つ者だけが残ればいいという人もでてくるのでしょう。
もちろん、あまりにも偉すぎるために、周りが意見することもできません。
要は、自分自身を否定されたコトがほとんどない、モンスターというコトです。

このあたりについては、医師の世界に通じるモノがあるかもしれませんね。
ただ、医療界は患者という一般人が介在しているだけ、まだ救いです。
そしてそう考えると、アカデミック界がいかに特異で閉鎖的なのかは想像するに難くないですね。

ですので、この世界で生きていくのであれば、この覆しがたい現実を受け入れる必要があります。
研究者を目指す人には、モンスターが跋扈する村社会でのサバイバルが求められるのですね。
正直、与えられたテーマをコツコツと真面目にこなすだけでは、太刀打ちできないでしょう。
アカデミック界で生き抜くためには、真面目で優秀とはまた別の資質が必要なのだと思うのです。

結局は、アカデミック界も営業力がすべてです。

私の知り合いにも、大学教授が何人かいます。
世代や専門は違えど、彼らに共通しているのは人心懐柔術に長けているというトコロですね。
具体的には、気が利いて、場の空気を読み取り、他人には気を使いまくる。
つまはこのような人でないと、この世界では成功できないような気がするのです。

率先して教授先生の鞄を持ち、飲み会では彼の靴を揃える。
私の親戚で国立大学の教授になった人は、これが普通にできる人でした。
商家の生まれで、このような振る舞いが身についていたことが、成功の一要因だと思いますね。

彼からは、飲み会のマナーについての指南を受けたことがありました。
ぶっちゃけ、このあたりは下手な営業部長顔負けといった感じでしたね。
大学の先生とはこのようなことにも詳しいのだと、ちょっと驚いたモノです。

別の教授も、率先してイベントなどを開催する半端ないバイタリティと行動力の持ち主です。
そして、誰とでも仲良くなって人脈の輪が広がっていくような人なのですね。
こちらも本当に、下手な営業部長顔負けといった感じです。

結局のトコロ、研究者としての実力などは、誰しもが紙一重なのでしょう。
そして、そこで一歩抜きんでるには、それプラスアルファの要素が必要なのですね。

いくら大学の先生とはいえ人間である以上、判断は好き嫌いで決まります。
要は、上から目をかけられ可愛がられ、引き上げてもらってなんぼの世界。
これが、アカデミック界の現実なのだと思いますね。

もちろん、このあたりの話は、どこの業界にも共通するトコロなのかもしれませんが。
アカデミックの世界では、この傾向が特に強いように感じられますね。
ですので、このあたりが苦手な人にとって、この世界はきびしいのかもしれません。
かくいう私も、ちょっと勘弁といったトコロですね。

ただし、大学院生活を謳歌している人も多々いるワケで。
私の義弟しかり、先輩でマスターに進んだ人も、傍目には楽しそうな二年間でした。
なんだかんだで、大学の先生や教官には良い人が多いですからね。
普通であれば、居心地の良い場所なのだろうとは思います。

とはいえ、マスターに進んだ先輩は、あの世界は微妙だと一般企業に就職しました。
当時はその意味が良くわかりませんでしたが、いまは感じ入るトコロがあります。

とにかく、アカデミック界は、一般社会以上にとても泥臭い世界ということなのでしょう。
そして、それがわかれば、すこしはその対処方法もみえてくるのではないのでしょうか。
大学院でお悩みの方の、いくばくかの参考になれば幸いです。