BitLockerの回復キーがみつからない。

Microsoft Office のセットアップオペレーターをしています。
今月中旬より、BitLockerがらみの問い合わせが増えています。
これが、なかなか致命的な内容なので、情報を共有したいと思います。

突然、BitLockerの回復キーが求められます。

突然、BitLockerの回復キーが求められて、パソコンが起動できない現象が発生しています。
原因はWindows11のUpdateで、アップデートした一部のパソコンに発生します。
詳しくは、こちらを参照してください。

いずれにしても、これについては回復キーがわからないとアウトです。
わからない場合は最悪、、、というか、絶対的にパソコン初期化になります。
そして、パソコンの中に入っているデーターは、すべて失うことになります。

このパソコンに入っているデータをすべて失うということはつまり、その日使う予定だった取引先へのプレゼン資料や役所への提出書類、あるいは大学に提出するレポートや思い出の写真、メールデータや連絡先情報などがすべてなくなるということですね。
なんとも、末恐ろしい話だと思います。

ちなみに、BitLockerというのはハードディスクのデータを暗号化する機能です。
暗号化することによって、万が一パソコンが盗まれてもデータ漏洩のリスクが減るのですね。
これは、パソコンを外に持ち出す人にとっては、必須の機能だとは思います。

しかし、これは諸刃の剣で、もし回復キーが不明になるとデータが取り出せなくなります。
そして今、そのような事案が多発しているのですね。

Microsoftは補償をしてくれません。

通常は、BitLockerを有効にしたときに回復キーの保存が求められます。
ただ、メーカーによっては、最初からBitLockerが有効になっているパソコンもあります。
この場合、ユーザーには暗号化している意識はありませんから回復キーも不明になります。

また、回復キーはマイクロソフトアカウントに保存されます。
ですので、マイクロソフトアカウントを使用していなかった場合もアウトです。

さらに、アカウントに保存されてたといても、パスワード不明や本人確認不可で回復キーにアクセスできない場合があります。
このときも、パソコンに保存されていたデータは諦めるしかありません。
運よく連絡先が登録できても、反映までひと月ほど待たなくてはいけない事例もあります。

もちろん、こうなってしまった原因はWindowsのUpdateにあります。
しかし、これについてMicrosoftがしてくれることは回復キーの入力案内までです。
わからなくなった回復キーを別ルートで調べたり、再発行などはしてくれません。

これは顧客のデータ保護の観点から、そのようなことができないシステムになっているからです。
回復キーがわからないユーザーに対しては、パソコン初期化の提案で終わりになります。

そして、この問題でビジネスが失敗しても行政からの優遇処置が受けられなくても、あるいは大学が卒業できなくなったとしても、Microsoftからの補償は一切ありません。
これについては、いくら騒ごうが泣きつこうがどうしようもないところですね。
一見理不尽なようですが、しかしMicrosoftの利用規約には、しっかりその旨謳われています。
たぶん、これで訴訟を起こしたとしても勝ち目はないと思いますね。

結局のところ、これぐらい割り切らないとソフトウェアビジネスは成り立たないのでしょう。
このあたりについては、アップルなど他のメーカーでも五十歩百歩です。
となると、ユーザーはそれを前提にパソコンを使用・運用していくしかないですね。

大切なデータをパソコンに保存してはいけない。

ということで、まずはBitLockerの有無と回復キーの確認ですね。
具体的な方法はググればすぐにわかりますので、あえてここでは案内しません。
Windows11のユーザーは、すぐに確認することをお勧めします。

あとは、やはり大切なデータをパソコンに保存してはいけないということですね。
あらためて、データはクラウドやRAIDを構築したNASなどに保存するべきだと思います。
もし、これらが準備できないのであれば、USBメモリーにバックアップだけでもしましょう。
これだけでも、万が一のときに最悪の事態を免れることができますからね。

私もパソコンで扱うデータは、すべてNAS(外付けハードディスク)に保存しています。
また、メールはimapで、アドレスデータはgmailの連絡先に保存ですね。
そして、いつパソコンがクラッシュしても大丈夫な状態にしています。
というか、ここまでしないとパソコンなどとても怖くて使えませんね。

パソコンのクラッシュは、何の前触れもなくある日突然にやってきます。
そして、泣こうが騒ごうが誰もそのフォローはしてくれません。
パソコンソフトウェアの製品保証は、自動車や住宅、家電ほど手厚くはないのです。

パソコンの世界は、自己責任が基本です。
なにごとも、それを前提に使用・運用することをお勧めします。