自宅サーバー
わかる人にはわかると思うが、このサイトは自宅サーバーで運営している。
ダイナミックDNSサービスを利用して、自宅のサーバーでWeb配信。
過去メールを確認してみると、最初のダイナミックDNS登録が2001年10月。
なので、かれこれ15年近く自宅サーバを運営いる事になる。
自宅サーバーの世界は、当時の職場の後輩であり、実にコンピュータセンスに長けたソフト設計者H君が教えてくれた。
彼は自宅のPCでWebサーバーを運営し、全世界に情報を発信しているとの由、へぇ~、そんな事ができるんだ。だったら私も一丁やってみようと、公開したいコンテンツもないまま、単純に技術的好奇心から始めてみたのであった。
H君は、BeOSでサーバーを構築していた。
しかし、彼ほどのスキルがない私は、一番最初はWindowsで始めた。
当時、私が生まれて初めて買ったPCをサブマシンとして自宅でファイルサーバーにしていたのだが、取りあえずはそれでやってみる事にしたのだ。
1996年のインターネット事始め時代に購入した、TWOTOPのVIPシリーズパソコン。Pentium 166Mhz M/Bは往年のASUS P/I-P55T2P4、メモリーは64MBだったと思う。それにWindowsNTをインストールしたそれは、それでも当時はファイルサーバー用途なら十分であった。
自宅サーバーお約束のダイナミックDNSは、WebPageのクールさに惹かれてDynamic Do!を選択。ダイナミックDNSクライアントツールにDiCE、WebサーバーはapacheのWindows版を準備。GUIに慣れた体にApacheのテキストファイルによる設定はちょっと面倒だったが、毎晩夜なべをしてはあれやこれやといじくって、最後にISDNのダイヤルアップルータのポートを開放して、外部から自宅PCのWebサーバーに繋がった瞬間は感動したモノだ。
しかし、色々と個人的なファイルが詰まったファイルサーバーを外部公開サーバーにするのはやっぱりマズイでしょうという事で。そんな折、これまた職場の後輩からAthlonのM/Bを無償で譲り受けたのを機に、格下げになったそれまでのメイン機で本格的な外部向けサーバーを構築、OSもLinuxで、実質これが我が家の一代目サーバーである。
Linuxについては一度、雑誌の付録CDに入っていたRedHatで挫折していたのだが、その一年後ぐらいにこれまた雑誌の付録のVineLinux2.5で今度はサラリとうまくいき、ようやく実現の可能性が見えていた時期でもあった。なお、我が家のサーバーOSは、これ以来ずっとVineLinuxである。この一代目サーバーでは念願のメールサーバーも立ち上げた。難しさはWebサーバーの比ではなかったが、メールアカウントをいくらでも持てる環境を手に入れたのは嬉しかった。
アパート時代は、この無粋も極まりなタワー型自作PC3台で頑張っていたモノの、自宅新築の際にPC群も新築。サーバーはもっとコンパクトな筐体にしたく、2005年の秋にヤフオクから日立のリースアップ品と思われるコンパクトディスクトップを9,000円で入手して二代目サーバーを仕立てたのだ。
Celeron 500Mhz のNewサーバーは快適で、VineLinux3.0で構築した環境は当時としては完璧だった。設定方法をHTML備忘録に取りまとめて自宅内イントラネットにアップしていたぐらいだから相当気合が入っていた、というより相当暇だったのだろう。(笑)Webとメールの他にFTPやDNSサービスも稼働させ、独自のURLでルータなどの自宅内のネット機器にアクセスさせては独り悦んでいた。
しかし、当時携帯端末として使っていたPDAのためにプロクシサーバーを入れたのが運の尽き。当たり前だけど、プロクシサーバーはHDDへのアクセス数が尋常ではない。完璧仕様の二代目サーバーは、運用開始2年を待たずしてHDDがクラッシュしてジ・エンド。あの時は、設定ファイルのバックアップも取っていない状態で、復旧にとても苦労した。この時に、RAID構築必須と心に刻み、件の三代目Cubeサーバー構築に繋がっていくのである。
しかし気づくと、昔ほど自宅サーバーが流行っていない昨今ではある。私にこの世界を紹介してくれたH君も、私が二代目サーバー構築で悦に入っていた時期にはとっくに自宅サーバーを廃止し、レンタルサーバーへ移行していた。セキュリティや機器の維持メンテを考えれば、それがベストの選択との話だった。
でも、私はレンタルサーバーよりも自宅サーバー派だ。やはり、何事にも縛られない自由さが自宅サーバーの真骨頂。ディスク容量は勿論、サーバー仕様などの制約を気にせず使えるのは、精神衛生上非常に良い。要は、自由気ままな私には、自宅サーバーがベストの選択という事なのだ。
しかし、これだけ便利な自宅サーバーが流行らないのは、やはりサーバー構築の敷居の高さにあると思う。それもスキル云々以前に、どれだけ自宅サーバの構築に時間をかけられるかという物理的な面が大きい。早い話、一晩二晩徹夜してでもサーバー構築に取り組める人向けのやり方なのだ。そのようなプロセスを飛ばして情報公開の成果のみを得たい人は、レンタルサーバーの方が明らかに効率的である。ちなみに、よく言われるセキュリティについては、15年間運営してきた実績からいえば、さほど大きな問題ではないと感じている。
という事で、この先も私は自宅サーバーを運営していくであろう。気の向くままにのんびりと、やりたい事をやりたいように、楽しみながら続けていきたいと思っている。