沖縄旅行記3
戦地跡を巡る旅から一転、翌日は息子のリクエストで美ら海水族館に向かう。道中、北上するR58を横切る朝練帰りの米軍戦闘機。レンタカーのフロントガラスの目の前を通過して基地に着陸していくF-15に、息子と二人思わず興奮してしまう。ただ、連日あの爆音を聞かされる住民の方は大変だろう。
ゾウの檻も見ていこうと思ったが、随分と前に撤去されたとの由。確かに、今はもう短波通信の時代じゃない。昔、BCLに興じた無線少年としては、ちょっと悲しいモノがある。
道の駅許田は、アメ横的なというか昭和感満載の雰囲気が良かった。美味しいカツサンドで、ホテルで朝食を食べそびれた空腹を満たしたのであった。
という事で、那覇からレンタカーで2時間かけて美ら海水族館がある海洋博公園に到着。ここは16年前に一度訪れた事があるのだが、なぜか水族館には立ち寄らなかったのだ。早速に水族館に入ってみると、なるほどさすがは南国の水族館だけあってカラフルなお魚が多数展示されている。勿論、圧巻なのは国内最大の水槽にいる二匹のジンベイザメ。
巨大水槽に二匹いるジンベイザメは、近くで見るとなかなかの迫力である。というかこの二匹、やけに人間慣れしていて自分を効果的に見せる術に長けているような感じを受けた。
ただまぁ、このジンベイザメを除けば、至って普通の水族館ではある。サメに特化した展示が目玉のようで、巨大なサメの歯やサメ肌に直接触れるコーナもあるのだが、今ひとつ迫力が足りない。正直、山形の加茂水族館の方が面白いのだ。明らかに、これはライブ感の欠落が原因だと思う。水族館である以上、やはり本物を見たいと思うのが人情。であれば、いくら巨大なサメの口でも模型では興ざめ、逆にクラゲでも本物が動いている方が面白いという事なのだろう。
そんな中、個人的にこの水族館で面白かったのはサメよりも危険海洋生物の案内だった。総合休憩所で流れていた危険生物のVTRは、非常に興味深い内容である。VTRによれば、沖縄の海にはハブクラゲという猛毒を持つクラゲや、ゴンズイといったヒレに毒針を忍ばせたトンデモ魚がウヨウヨといるらしい。圧巻なのはイモガイ。あれが毒針を獲物に刺して大きな口で丸のみの様は、下手なホラー映画顔負けである。しかも、このVTRはハブクラゲに刺されたお嬢さんの痛々しいおみ足などが映し出される強烈な内容であり、沖縄の海には迂闊に入ったりはできないのだなと、非常に勉強になった次第。これで、ハブクラゲやゴンズイ、イモガイなどの危険生物を実物で一同展示したら、加茂水族館に負けないぐらいのコアな水族館になるであろうと思いながら、海洋博公園を後にしたのであった。
帰りは、名護市内に入ってガジュマルロータリーを観光。初めてきた時は、このロータリーから北上してオリオンビールの工場を見学したんだっけ。そんな名護市も、海沿いにバイパスができて随分と様変わりしていた。
それで、私が個人的に一番行きたかったのはここ。中城城址跡である。
まるでラピュタの世界。
初めて訪れた時は、いたく感動したモノだ。
今回は夕暮れ時だったので、兵どもが夢の跡感もMAXである。
この中城、創始は明らかではないらしいが、おおよそ14世紀の三山時代との事。この小さな島にも三つの勢力が覇権を競った時代があるのだと感慨する。案内板を読み進めると15世紀に琉球統一、そして1609年に琉球征伐とある。琉球王朝が王朝だっのは100年もなかったのか、しかし琉球征伐とは?征伐という言葉がひっかかり、ホテルに戻ってネットで調べてみたところ非常に詳しく解説しているサイトがでてきて、これまた非常に勉強になった次第である。
※その後、なぜか上記のサイトがでてこなくなってしまった。履歴に残ったURLをたたいても、ユーザーIDとPWを要求される状態である。
一言でいえば、征伐という名の侵略である。奄美大島が鹿児島県である理由も良く分かった。そして、このような都合の悪い事は学校の歴史の授業では触れもしないという事も改めて認識した。
薩摩藩の琉球侵攻の後は、明治政府の琉球処分で大日本帝国に組み入れられ、皇国化教育の挙句の沖縄戦の悲劇。勿論、それは小国ゆえの歴史の必然なのかもしれないが。ロマンチックな中城の光景から、沖縄の痛みというモノを改めて感じ入る旅であった。