家計簿からExcelで複式帳簿-3【確定申告】
私の青白申告、複式帳簿はExcelです。
ネットで複式帳簿を学び、帳簿をExcelで作り上げました。
もちろん、完全無料です。
このシリーズ、2回目で複式帳簿が完成し青色申告はできるようになりました。
3回目では、もう少し勘定科目についての理解を深めます。
勘定科目が理解できれば、ちょっと複雑な仕訳もググって対応できるようになります。
- 家計簿からExcelで複式帳簿-1 家計簿から仕訳帳をつくる
- 家計簿からExcelで複式帳簿-2 損益計算書と貸借対照表
- 家計簿からExcelで複式帳簿-3 勘定科目のお話
- 家計簿からExcelで複式帳簿-4 固定資産の取り扱い
勘定科目の種類を知ろう。
勘定科目を理解するには、まずはその種類を知る必要があります。
なぜなら、勘定科目はその種類によって取り扱い方が違うからです。
それで、勘定科目の種類を検索しますと、資産とか負債といった言葉が出てきます。
確かに、厳密に突き詰めていくと、このような表現になるとは思います。
でも、資産や負債や純資産では、あまりに抽象的すぎていまひとつわかりづらいですね。
ここでは、複式帳簿を作成する側の視点に立って、勘定科目を独自に分類していきます。
分類については、以下の通りです。
- 収入に関する科目
- 支出に関する科目
- お金の場所に関する科目
- 減価償却する金額を入れておく科目
- スペシャルな科目
それでは、以下に各々の分類についての内容や特徴を解説していきます。
1.収入に関する科目
家計簿でもお小遣い帳でも、まずは収入から始まりますね。
これについての科目は、以下の通りです。
- 売上
これだけですね。
大企業でもない限り、少なくとも在宅フリーランスなら、この科目しか使いません。
この科目の特徴は、以下の通りです。
- すべて貸方系の科目である。
- 仕訳帳では、貸方科目にしかでてこない。
そして、この科目は、お金の場所に関する科目と対で使われます。
なお、この科目は、一般的には収益に分類される勘定科目と呼ばれます。
2.支出に関する科目
お金が入ったら、今度は出ていくときの科目ですね。
こちらについては、たくさんの科目があります。
ざっと並べるだけでも、こんな感じですね。
- 水道光熱費
- 通信費
- 消耗品費
- 新聞図書費
- 旅行交通費
- 接待交際費
- 雑費
内容については、もうそのまんまですね。
この科目の特徴は、以下の通りです。
- すべて借方系の科目である。
- 仕訳帳では、借方科目にしかでてこない。
この科目も、たいていはお金の場所に関する科目と対で使われます。
なお、一般的には費用に分類される勘定科目と呼ばれます。
3.お金の場所に関する科目
これは、複式帳簿に特有の科目です。
一般的な家計簿やお小遣い帳には存在しない科目ですね。
具体的には、以下の通りです。
- 普通預金
- 現金
こちらについても、そのまんまですね。
現金については、仕事用のお財布と考えていただいてOKです。
大企業ですと当座預金などもありますが、在宅フリーランスならこの2つで事足りますね。
ちなみに、私は現金も使いません。
これについては、後述します。
それと、お金が入る予定の場所、あるいは出ていく予定の場所もあります。
具体的には、以下の科目です。
- 売掛金
- 買掛金
この科目の特徴は以下の通りです。
- 科目により、借方系と貸方系の両方がある。
- 仕訳帳では、借方科目と貸方科目の両方に出てくる。
借方と貸方の両方に出てくるというのが最大の特徴ですね。
また、この科目はあらゆる科目と対で使われます。
なお、一般的にこの科目は資産や負債に分類されます。
4.減価償却する金額を入れておく科目
10万円以上する自宅や自動車、パソコンなどは一発で経費にはできません。
購入したときの費用を分割して、数年かけて減価償却費で経費にしていきます。
その減価償却の対象となる金額を入れておく科目です。
主なところで、以下の科目があります。
- 建物
- 車両運搬具
- 工具機器備品
こちらもまぁ、そのまんまですね。
特徴としては、以下の通りです。
- すべて借方系の科目である。
- 仕訳帳では、借方科目と貸方科目の両方に出てくる。
一般的には、資産と分類される科目ですね。
なお、減価償却のやり方については、こちらで詳しく説明したいと思います。
5.スペシャルな科目
特殊な処理に使用する、スペシャルな科目です。
トランプに例えると、ジョーカーのような立ち位置の科目ですね。
具体的には、以下の通りです
- 元入金
- 事業主借
- 事業主貸
元入金は、前年の帳簿から繰越するときのスペシャルな科目です。
これを使えば、ぶっちゃけ何でも繰り越せます。
そして、事業主借と事業主貸は、最強すぎます。
どれだけ最強なのかは、後述します。
借方と貸方の意味を知ろう
勘定科目の種類がわかれば、どんな場面で何を選択すればよいのかがわかります。
しかし、これだけでは借方科目と貸方科目のどちらに入れたらいいのかまではわかりません。
どちらに何をいれるのかを判断するには、借方と貸方の言葉の意味を知る必要があります。
借方と貸方、これもネットで検索すると、いろいろな解釈が出てきます。
中にはただの記号とか、あるいは何の意味もないといった解釈もあります。
なんか、調べれば調べるほど混乱するばかりですね。
これについては、単純に以下の通りです。
- 借方:お金が入るという意味
- 貸方:お金が出るという意味
素直に、お金を借りれば入ってくる、貸せば出ていくの理解でいいと思います。
つまり、仕訳帳の借方科目はお金が入る科目、貸方科目はお金が出ていく科目なのですね。
広義では、これが借方と貸方の解釈になります。
でも、これだけではいまひとつピンときませんよね。
これについては、実際に複式帳簿で何が行われているのかを理解することで明瞭になります。
複式帳簿で行われていることを理解しよう
結論から言うと、以下の3つです。
- 入金の処理
- 出金の処理
- 事業内でのお金の移動の処理
そして、各々の処理において、借方と貸方の意味合いが違ってきます。
これがわかれば、どんな勘定科目を借方と貸方のどちらに入れるのかが明確に理解できます。
それでは以下に、各処理ごとの貸方と借方の意味をまとめます。
1.入金における借方と貸方の意味
- 借方科目:お金が入った場所
- 貸方科目:入金の名目
2.出金における借方と貸方の意味
- 借方科目:出金の名目
- 貸方科目:お金を出した場所
3.事業内でのお金の移動における借方と貸方の意味
- 借方科目:お金の移動先
- 貸方科目:お金の移動元
どうでしょう?
スッキリしましたか?
それでは、実際に仕訳帳を記載する場面で確認していきましょう。
たとえば売上がたった場合、借方科目は売掛金で貸方科目は売上です。
これは、売上という名目で売掛金にお金が入ったという意味になります。
また、電気代を口座引き落としの場合、借方科目は光熱費で借方科目は普通預金です。
これは、光熱費という名目で普通預金からお金が出ていったという意味です。
そして、売上金が入金したときは、借方科目は普通預金で貸方科目は売掛金です。
これは、売掛金から普通預金にお金が移ったという意味になります。
同様に、普通預金からお金を引き出したときは、借方科目は現金で貸方科目は普通預金です。
これも、普通預金から現金にお金が移ったという意味になりますね。
ここまでくれば仕訳帳の科目選択、要は仕訳に迷うことはないと思います。
そして、仕訳方法をググった時に、そこに書いてあることの意味が理解できることでしょう。
事業主借は最強の科目です。
結局のところ、複式帳簿とはお金の移動を記録する帳簿なのですね。
お金の増減を記録する家計簿やお小遣い帳とは、ここが根本的に違います。
お金の移動を記録するという性質上、どうしても経費の入力作業は煩雑になります。
たとえば、クレカで備品一つ買うにしても、
- 購入時に、購入金額を買掛金にいれる
- クレカ決算時に、買掛金→普通預金の支払処理をする
といった感じで、最低でも二回の入力作業必要です。
そして弥生やfreeeといった有料サービスは、その辺りを簡単にしてくれるのですね。
でも、Excelの複式帳簿でも、この辺りを単純にしてくれる魔法の科目があります。
それが、事業主借という科目なのです。
事業主借の事業主とは、事業主のプライベートマネーという意味です。
これに借がついて、要は事業主のプライベートマネーで支払うということですね。
これで仕訳をすることによって、経費の処理は一気に単純化します。
光熱費も通信費も消耗品も、貸方科目は事業主借一択です。
これだと、買ったときと支払いがあったときとで、処理を二回する必要がありません。
光熱費や通信費といった各種経費を、家計簿感覚で処理することができるのです。
そして、この仕訳方法は、実際の運用とも合致しています。
現に、光熱費も通信費も家事との按分です。
そしてその支払いは、事業主のプライベートマネーで行われていますからね。
現金の科目は使わない
そしてもうひとつ、帳簿を簡単にするための小技があります。
それは、現金の科目を使わないようにするということです。
要は、仕事用の財布を持たないということですね。
私は、普通預金の口座だけで仕事をまわしています。
この口座に、月に一回受託金が振り込まれます。
そして、そこからプライベートマネー、要は生活費を引き落としています。
もちろん、その時の借方科目は事業主貸ですね。
そして、この口座のお金の出入りは。受託金の振込と生活費の出金の二つだけです。
それ以外の取引は行いません。
つまり、各種費用をこの口座から支払ったりはしないということですね。
- 売上はすべてプライベートマネーに移動する。
- 各種費用はプライベートマネーから支出する。
このスキームによって、複雑な複式帳簿の仕訳が家計簿並みに単純化できます。
モノを買っても入力回数は一回ですし、残高の管理も通帳と帳簿の突合せだけです。
煩雑な処理がないので、ミスもほとんどありません。
なんとも快適な、複式帳簿ライフです。
これを実現してくれる事業主借と事業主貸、本当に最強の勘定科目ですね。
この科目を知った時は、感涙しました。
ちなみに、この事業主借と事業主貸は、個人事業主だけが使える科目です。
こんな神のような勘定科目、とことん使わないと損ですね。
ということで、家計簿からExcelで複式帳簿も、いよいよ最終章です。
勘定科目が理解できたところで、次回は減価償却に挑戦です。
減価償却ができると、自宅の購入費を経費で落とせるので大きいですね。
減価償却まで対応できれば、在宅フリーランスの青色申告はほぼ完璧だと思います。
完成まであともう少し、がんばっていきましょう。