現場からの芋煮戦争論
先日、秘密のケンミンショーの芋煮特集を面白く視聴しました。
なんでも、芋煮戦争勃発とのことで、笑ってしまいますね。
確かに昔から、芋煮に関しては山形と宮城、他県とで、ちょっとした軋轢があったります。
それでは、実際の芋煮会事情などをもとに、戦争勃発の理由を考察してみたいと思います。
9月になったら芋煮会です。
今年も、芋煮会の季節がやってきました。
山形も、コロナの影響で大芋煮会こそ中止になりましたが、週末になると馬見ヶ崎の河原には、あちらこちらから芋煮の煙が上がって楽しそうです。
いまさらですが、芋煮はバーベキューと同じく野外で食を楽しむイベントです。
盛夏の頃はバーベキューが雰囲気ですが、陽が柔らかくなってきたら芋煮ですね。
秋空の下、気の合う仲間と芋煮の鍋を囲むのは楽しいモノです。
かまどに鍋をかけ、薪で芋を煮て、牛肉、こんにゃく、ネギ、ゴボウを加えて味付け。
そうしてできあがった芋煮を、みんなでワイワイと食します。
秋風に吹かれながら堪能する、あの芋煮のうま味、最高のひと時ですね。
さて、そんな芋煮会ですが、バーベキューとは決定的に違う点が1つあります。
そして、それが戦争勃発の理由のように考えます。
それではその辺りを、詳しく考察していきたいと思います。
芋煮会は、委任と承認のイベントです。
芋煮とバーベキューの決定的な違い、それは調理方法の違いです。
バーベキューは焼き物料理ですが、芋煮は鍋料理です。
鍋料理ゆえに、芋煮には味付けという工程が入ります。
そして、その味付けは、参加者同士の委任と承認によって行われるのです。
この委任と承認の芋煮に対して、バーベキューは非常にパーソナルです。
基本、何をどのように焼いて何味で食べるかは、個人の自由に委ねられています。
ところが、一つの鍋て調理される芋煮の味付けは、ある者に一任される形になるのです。
味付けを任された者は、参加者全員からの委任でもって味付けを行います。
そして、その味付けが参加者全員に承認されて、初めて芋煮は完成するのですね。
ということで、味付け担当者の責任は重大です。
なぜなら、みんなの芋煮の運命は、味付け担当者のさじ加減にかかっているワケですからね。
そして、その担当者には、みんなの芋煮をゆだねられた誇りとプライドがあったりします。
この委任と承認のシステム、そして誇りとプライドが、戦争勃発の理由なのですね。
傍から見ている分には、平和で楽しい芋煮会です。
しかし、そこには絶妙な人間力学がかくれていたりするのです。
他人の味付けにケチをつけてはいけない。
ちなみに、テレビで紹介されていた味マルジュウは、インスタント調味料です。
多くの山形芋煮は、醤油と酒、そして砂糖で味付けをします。
そして、そのさじ加減がまた、なかなか絶妙だったりするのですね。
また、アクの取り方ひとつで揉めたりすることもあります。
材料の投入方法や順番などもさまざまです。
つまりは、芋煮の作り方は人それぞれ、いろいろな流儀があるのですね。
なので、芋煮の味付け担当者は、絶対的な権力者だったりもします。
結局、そうでなければ、味も工程も決まらないのですね。
そして、そんなシビアな状況下で、県外の部外者が「芋煮は味噌」などと口走る。
はい、これが戦争の火種となるのは、火を見るよりも明らかですね。
他人の味付けとクルマの運転にケチをつけてはいけない。
人間社会を上手に渡り歩く上での、イロハのイです。
もちろん、芋煮を愛するすべての人がそうというワケではありませんけどね。
でも、こだわる人はこだわるのが芋煮なのです。
テレビでは、芋煮戦争で殴り合いになったという人も出ていました。
ぶっちゃけ、それも分かる気がします。
マイペース芋煮がおすすめです!
ということで芋煮会、楽しいのですが、ちょっと面倒くさいところがあったりします。
少なくとも、バーベキューのような自由奔放さはないですね。
なので、それがちょっと苦手な私は、サクッと自宅の玄関先でパーソナルに芋煮をします。
道具は、小型のアルミ鍋とキャンプ用の焚火台、そして植木鉢の台ですね。
いくら自宅とはいえ、キッチンでは雰囲気が出ません。
なので、芋煮はぜひ、屋外でやりましょう。
もし、焚火が難しいなら、キャンプ用のストーブやカセットコンロもアリです。
これで、河原でやるのとそん色ない、本格的な芋煮が楽しめます。
そして、ちょっと面倒な芋煮の人間力学からも解放ですね。
ちなみに、私は宮城の出身ですが、芋煮は山形派です。
やっぱり、これが芋煮の王道とは思いますね。
でも、テレビを見ていたら、久しぶりに宮城の芋煮が食べたくなりました。
高校の時の芋煮会、楽しかったです。
そんな思い出に浸りつつ、今年は醤油と味噌の二つを作るのも面白そうです。
いずれにしても、たかが芋煮会、されど芋煮会です。
今年も、我が家は戦争とは少し距離をおいて、美味しい芋煮をを楽しもうと思っています。