風に吹かれて生きるということ。

久しぶりに、五木寛之先生の本を読みました。
米寿にしてなお、飄々とされているご様子に感嘆しましたね。
そして、変化を柔軟に受け入れるということについて、あらためて考えさせられました。
今回は、個人的なケガの話と絡めて、その辺りのことを書いてみたいと思います。

ケガをしてしまいました。

痛風にプラス、転倒して腰を打ち、ダブルの痛みに苦しんでします。
本当に、人生どこに落とし穴があるかわかりませんね。
いまも、痛みを噛みしめながら、この記事を書いています。

事の発端は、痛風の発作でした。
昨春に初めての発作を起こしてから、これで三回目になります。

まず、お正月明けに右ひざが突然痛くなりました。
朝起きたら、謎に痛くなっているという感じです。
このパターンは、ほぼ間違いなく痛風ですね。

このときは、痛み止めの薬を飲んで様子見することにしました。
数日したら痛みは治まり、まずは一安心です。

ところが、その一週間後、今度は左足の甲が痛くなりました。
どうにも、全身のいたるところに尿酸結晶が溜まりまくっているようです。
昨秋の健康診断、尿酸値はレッドゾーンでした。

ただ、痛風の発作にしては、痛みが穏やかなのには助かりましたね。
経験者の話によれば、ハンマーで叩かれたような激痛が走ることもある痛風。
でも、私はいつも、ちょっとジクジクするような痛みで済んでいます。

とりあえず、その日は痛む左足を引きずってベッドから這い出ました。
痛むといっても、歩けないほどの痛みではありません。
いつもの通り、洗顔してリビングの掃除をしたら、愛犬との散歩です。
そして、玄関から外に出たところで、派手に転倒してしまったのでした。

油断からくる不注意です。

その日は、氷点下の極寒日でした。
玄関をでたところの三和土は、ツルッツルに凍っていました。
そして、不用意に踏み出した右足が完全にグリップを失い、体が宙に舞ったのです。

あのとき、左足が健在だったら、あそこまで派手に転ばなかったのかもしれません。
しかし、痛風の左足に、バランスを失った体を支えるだけの能力はありませんでした。

宙に舞った次の瞬間、私は三和土にたたきつけられました。
それも、三和土の角の部分ですから悲惨です。
転倒してしばらくは、身動きを取ることすらできませんでした。

幸いなことに、骨折などの重篤な状態ではなかったのですが。
しかし、転んで二日目の本日も、立ったり座ったりするたびに打ったところが激痛です。
それにプラス、左足が痛風の鈍痛ですから最悪ですね。

ということで、本来であればスキーにでも出かけたいところでしたが。
今日は朝から大人しく、ブログの記事などを書いています。

これもひとえに、私の油断と慢心に帰するところですね。
まずは、三和土は凍結していないと、見た目で思い込んでしまったことです。
そして、不自由な左足で、不用意に行動していたことに尽きますね。

オートバイに乗る人間として、リスクに対しては人一倍敏感でなくてはいけないハズなのに。
知名を越えて、まったく焼きが回ったモノだと猛省しました。

五木先生の生き抜くヒント

痛風と打撲を診てもらいに近所の整形外科に行ったら、溢れんばかりの患者さんでした。
なんでも、私がケガをした日は、市内でも転倒事故が続発だったのだそうです。
それを聞いて、まずます情けない気持ちになりました。

待合室で待っている間、kindleで五木先生の作品を読みました。
生き抜くヒント、週刊新潮に連載中の、先生の最新作です。

先生との出会いは、高校一年生のときでした。
学校の図書室にあった青春の門は、再起編まで一気に読みました。
その他にも、当時リリースされていた先生の作品は、ほぼすべて読んでいます。

後にも先にも、これだけハマった小説家は、五木先生だけですね。
また、エッセイなどを通じて知った先生の生きざまには、とてもシンパシーを感じます。
先生の作品は人生の指針、というよりも虎の巻という感じで愛読してきました。

数年前に、山形で行われた先生の講演会にいったことがあります。
最前列で拝聴したのですが、凄かったですね。
リアルの五木先生は、まさに仙人でした。

さて、そんな先生の最新作は、健康がテーマです。
いや、先生の表現ですと、健康ではなくて養生ですね。

先生の養生は、趣味で楽しく、うまくいけば儲けモノぐらいのスタンスなのだそうです。
この辺りに、先生のブレのない死生観のようなモノが垣間見れて嬉しくなりました。

本には、年に数回、上手に風邪をひくという話も載っていました。
この話は講演会でもされてましたが、こんなことができる先生は、やはり仙人です。

そんな先生も、昨今は左足の痛みに難儀されているようです。
先生が訴える脚が不自由な者の悲しさは、今の私にはあまりにもタイムリーでした。
先生も、転倒には細心の注意をされながら過ごしているとの由。
あらためて、私も気をつけなくてはと思った次第です。

変化を受け入れて、柔軟に生き抜くということ

そして、この本で私を最も驚かせたのは、先生のライフスタイルが激変していたことです。
なんと、先生は今、昼型人間なのですね。
これには、いたく驚嘆させられました。

五木先生といえば、完全なる夜型人間で有名でした。
夕方に起きて朝に寝る、そんな生活を半世紀以上続けてこられた方です。
そして、それが無病の秘訣とまで言い放たれていたのでした。

それが、今では朝の8時に起きて、夜の12時には就寝とのことです。
それで体調はどうなのかと思えば特に問題もないようで、やはり先生は超人ですね。

先生の愛する深夜の世界は、このコロナ禍で一変したようです。
深夜まで営業していた飲食店やカフェ、劇場や映画館などはなくなってしまったそうです。
そして、このような深夜街は、今後はオンラインなどに変わるかもしれないとのことでした。

しかし、そのような変化を、先生は前向きに受け止めていました。
それで、昼型人間に変わったとのことでした。

なるほど、これが風に吹かれて生きるということなのですね。
久しぶりに、目から鱗の想いでした。

いくら世界が変わろうとも、自らのスタイルはなかなか変えられないモノです。
ましてや、半世紀以上もこだわってきたモノであれば、なおさらですね。
それが、米寿を越えてこの自己革命ですから、恐れ入るばかりです。

やはり、五木先生は仙人だと再認識しました。
高校生の時に出会って35年、先生からまた新たな虎の巻を与えてもらった感じです。

ということで、私も引き続き、諦念しつつもポジティブに生きていきたいですね。
まずは、今抱える腰のケガと痛風に、なんとか折り合いをつけて。
風に吹かれるがままに、しなやかにしたたかに、日々を過ごしていきたいと思います。