旧友と旧道

カブで里帰りしました。

先週末の三連休、カブで隣県の実家に帰省しました。

高速を使えば40分の距離ですが、カブでは高速を走れません。
えっちらおっちら旧道の峠を越えて帰るのは、大学一年生の夏休み以来です。

あの時は、サークルの打ち上げ合宿が終った翌々日の8月2日。
前日に運転免許を取得して、やっと実家に帰れる手はずが整って。
朝も早くから、当時の愛機スズキGN50で山形のアパートを出発したのでした。
しかし、前日までの夏空とは打って変わって、その日はあいにくの天気。
ガスの笹谷峠を越えて宮城側に下りたあたりから、ずっと雨でした。

そして、実家にたどり着いたころは、完全に濡れネズミ。
あの時の家族の呆れ顔が、今でも鮮明に思い出せます。
ここまで覚えているということは、あの走りはかなり強烈な体験なのでしょう。
そんなことを思い出しながら、晴天の笹谷峠を越えていきます。

カブの乗り心地がよいからか、あるいは私の経験値が上がっているからなのか。
思いの外イージーに峠を抜けることができました。
とはいっても、笹谷側に下りた時点で出発から30分。
高速を使えば、実家の最寄りのICにたどり着いている時間です。
やはり、高速道路は偉大ですね。

8年ぶりに旧友に会いました。

笹谷峠の後にもうひとつ峠を越えて、実家のある街に到着です。
60kmの道のりを1時間20分ですから、まぁまぁ予定通りですね。
今回の帰省は、旧友との再会が一番の目的でした。

友人は、中学から高校にかけての同級生。
今は、仙台で麻酔科医をしています。
今回は、若い頃に逝った彼との共通の友人の、お墓参りを兼ねていたのでした。

逝った友人宅でお参りして、そのあと積もった話に花が咲きました。
彼と会うのは8年ぶり、生真面目でマイペースなところは相変わらずです。
人間、大元のところはそう変わらない、、、いや、まったく変わらないものなのですね。

ただ、ずいぶんとお医者さんらしい顔つきにはなってきたかな?
さすがにこの歳にもなると、生き様みたいなところは出てきますね。

ブランクがあっても、すぐに以前のように打ち解けあえるのが旧友のいいところ。
お互いに分かり切った価値観の中で現在の話題を語り合うのは、とても楽しいものです。
ついつい、4時間以上も話し込んでしまいました。

昔から友人は少なめで、逆にそれが心地よい私ではあります。
でも、彼がいてくれて本当によかったと思いますね。

帰路は想い出の旧道です。

帰りは、七ヶ宿経由です。
こちらも往路の笹谷峠と同様、いやそれ以上にスムーズに走り抜けることができました。
七ヶ宿経由の場合、走行距離は70kmほどですが、それでも1時間20分です。
笹谷より距離は長いが時間は同じ、これは街道としての優秀さでしょうね。
さすがは往年の羽州街道、多くの大名が参勤交代で使った実績は伊達ではないです。

ちなみに、件の夏休み明けもこのルートで帰還でした。
あの時は、若くして逝った友人と一緒に走りました。

当時、七ヶ宿ダムはまだ完成しておらず、県境の金山峠はダートでした。
XL50を駆る友人は楽しそうでしたが、GN50の私にはちょっとした冒険でしたね。
かつての街道はダムの底に沈み、峠は全面舗装です。

峠を降りてからR13に出るまでも、ずいぶんと便利になりました。
昔は、ここがまた長くて友人とちょっとうんざりしたのも懐かしいです。
時の流れを感じる、味わい深い走りでした。
またカブで帰省するチャンスがあったら、今度はエコーラインを試してみたいと思います。