ペンション
お盆休みも最終章、本日から一泊で家族でペンションに来ている。
山形からクルマで向かうに、境田峠を超えた辺りから雨。最近は歳のせいか、こんな涼しい小雨の夏休みも悪くないと思ってしまう。ようやく完成したR108のバイパスを初めて通る。鳴子から鬼首までの旧R108は難所だったから、このバイパスが完成した意義は大きいだろう。後述するペンションのオーナーも、冬場の移動が楽になったと喜んでいた。
さて、そのペンションとは鬼首の森りんこ。鬼首界隈では、結構有名なペンションである。
いつも、玄関先で迎えてくれるペンションを象った照明が可愛い。
ここにちょくちょく来るようになって10年以上。息子がまだ保育園時代から、鬼首スキー場で夏場に開催されるカブトムシ展に合わせて、ほぼ毎年訪れているのだ。山形からクルマで2時間という距離で、遠からず近からずというのも良い。最初に来た時はまだ新しい感じだった玄関までのエントランスも、最近は年季が入ってきて、それがまた良い雰囲気を醸し出している。
このペンションは、建物の作りも部屋の雰囲気もそして夕食も、典型的なペンションのそれである。勿論、部屋も食堂も清潔でお洒落で夕食も美味しく、オーナーさんもアットホームながら程よく控えめで本当に心地良い。1980~90年代のペンションらしいペンションを楽しみたいのなら、その満足度は非常に高い。そして、それ以上に私を満足させてくれるのは、ここの温泉を引いたお風呂である。
温泉で満たされた大きい湯船に浸かると、下らなき日常の疲れが溶解する。火照った体に、風呂場の窓からの高原の涼風が心地よい。こんな風に、ペンションの快適さと温泉の楽しさを同時に味わえるところが森りんこの最大の魅力。なので、もう息子はカブトムシを卒業したのに、今の季節になると思わず予約の電話を入れてしまうのである。(笑)
ペンションという宿泊施設がこの世にある事を初めて知ったのは、高校生の時に読んだあいつとララバイ。北海道ツーリングで、友美ちゃんが大喜びのお洒落なペンション。確か、あのペンションのオーナーは死神ライダー赤城だったと記憶している。(笑)当時はオートバイでツーリングに出掛け、このようなペンションに泊まったりするのが流行りだったのだ。正に、古き良き時代の話である。森りんこも、そんな時代に出来たのだとオーナーさんがお話しされていたのを聞いたことがある。あの当時は、鬼首はオニコウベと表記され、極楽スキーでもそこそこの評点を取る屈指のリゾート地だった。そんなリゾートバブルも今は昔、あれ程あった鬼首のペンションも、今でも営業しているのは半分ぐらいではないのか。現に、森りんこの隣のペンションは、長い事店仕舞いの状態だ。お洒落で可愛い西洋風だけでお客が来る時代ではないし、国内の中途半端なリゾート地でリゾートするような人も少ない中、ペンション経営も大変だろう。そのような中、長く変わらずまた来てみたいと思わせる雰囲気を保ち続ける森りんこには、この先もずっと頑張り続けて欲しいと思うのである。