タグ・ホイヤー修理

愛用していたタグ・ホイヤーを壊してしまいました。
でも、思いの外かんたんに修理できました。
しかも、ちょっとしたサプライズつきです。
久しぶりに、昔気質の職人さんの矜持に触れた感じがしました。

クロノグラフの針が外れてしまいました。

桐生まで走った日の前日は、人間ドッグでした。
市の健診センターにカブで出かけて、朝からあちらこちらを診てもらいました。

それにしても、今時の健診システムは、よくできていますね。
検査している先から、手元の端末で空いているところを優先に案内されます。
あれよあれよと健診は進んで、10時半には全ての検査が完了しました。

昔は、朝の7時から並んで、へたするとお昼過ぎまでかかったりしたモノです。
まさに、隔世の感ですね。

検査が終わって着替えをして、あとは下のフロアで会計です。
そこで、バッグから財布を出そうとしたら、時計を落としてしまいました。
健診の間、外してバッグに入れていたタグ・ホイヤーの存在を、すっかり忘れていたのです。

その日は、午後から息子の高校の進路説明会でした。
いちど自宅に戻り軽く昼食のあと、再びカブで息子の高校です。

進路説明会は、予備校の先生による受験勉強のイロハでした。
数学や物理はコツをつかむと点数落ちないけど、語学は少しでもサボるとダメとのこと。
なるほど、かつて受験生だった私にも、思い当たるところが多々あります。

この話、35年前に聞きたかったなぁと思いながら、ふと時計に目を落とすと、、、あれ?
クロノグラフの針がひとつ、ハズレてるではありませんか!

たぶん、健診センターで落っことした時に外れたのでしょう。
もちろん、これは自力で直せそうにありません。
進路説明会はどこへやら、会場でひとり途方に暮れてしまいました。

即行で、時計屋さんに修理をお願いしました。

約一時間の進路説明会が終わり、まずは気持ちを落ち着けて会場を後にします。
そして、高校の駐輪場でGoogle検索、キーワードは、山形市、時計、修理です。
そうしたところ、なんと評点4.5の時計屋さんがヒットしました。

レビューによれば、どんな時計でもリーズナブルに直してくれるとのこと。
さっそく、スマホナビを頼りに検索先に向かいます。
その時計屋さんは、七日町のグランドホテル隣りに小さく佇んでいました。

東京蜂谷時計店、いかにも昭和な感じのお店です。
お店に入ると先客あり、なにやら電池交換の相談をされているようです。

店内を見渡すと、いたるところにwiccaのポスターが掲げてありました。
今春までwiccaのイメージキャラクターだった、有村架純ちゃんのポスターです。

店主は、有村架純ちゃんのファンなのでしょうか?
それにしても、このポスターの架純ちゃんは半端なく可愛いなぁ…。
と、そんなことを想いながら、順番を待っていました。

待つこと数分、ようやく私の番になりました。
まずは、時計をみせて故障の内容を伝えます。
そうしたところ、軸もきちんと残っていますし、翌週月曜日には直りますとの回答でした。
修理代も、2,000~3,000円とのことです。

このタグ・ホイヤー、メーカーに頼むと電池交換だけで5,000円もする時計です。
すぐに直して貰えるのも嬉しいですが、このリーズナブルな料金にも感動でした。
まさに、Googleのレビューの通りの展開です。
喜び勇んで時計を預けて、その日は帰宅となりました。

無償で直していただきました。

そして翌週火曜日、時計を受け取りに行きました。
そうしたところ、なぜか店主は浮かぬ顔です。

クロノグラフの針は、無事についたとのことでした。
しかし、それ以前の問題として、時計が止まってしまうらしいのです。
実際に手にしたタグ・ホイヤーは、長針・短針・秒針すべてが止まっていました。
「たぶん、ムーブメントが汚れているのでしょうね。」とは、店主の弁です。

ストップウォッチ付のホイヤーは、蜂谷さんでは分解掃除できないとの由。
完璧な状態でお渡しできないので、お代はいただけませんと言われてしまいまた。

時計が動かないのとクロノ針の取り付けは別の話ですと、申し入れはしました。
しかし、頑としてお代は受け取れないという店主様、結局、無償ということになりました。

たしかにこのホイヤー、以前から動きに微妙なところがありました。
たとえば、ストップウォッチがきちんとリセットできないとか。
なんか、変な時計をお願いしたばかりに、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
何はともあれ、クロノの針を直していただいたことに感謝です。

それで、確かに受け取った時計は動きません。
リューズを出し入れすると動き出すのですが、数分で止まる感じです。

でも、修理に出す前は問題なく動いていました。
また、ストップウォッチは問題なく動作します。

そんな状況より、単純にリューズの接触不良のような気もします。
修理でリューズを外した際に、おかしくなってしまったのかもしれません。
それで、帰宅後なんどかリューズを動かしていたら、なんときちんと動くようになりました!

その後もドキドキしながら見ていますが、問題なく動いているようです。
修理が終わって半月ちかく、たぶん、これでしばらくは大丈夫でしょう。
それでまたダメになったら、そのときは腹を括ってメーカー修理に出したいと思います。

いずれにしても、修理困難と思われたモノが、リーズナブルに直せてよかったです。
そして、老舗時計屋の矜持と心意気に感動しました。

最近は、このような時計屋さんも少なくなりましたが、引き続きがんばってほしいですね。
そして、手持ちの時計がおかしくなったら、またいろいろと相談しようと思っています。