キムタク信長とトヨエツ梅安

時代劇の映画を2本観てきました。
ひとつはレジェンド&バタフライ、そしてもうひとつは藤枝梅安です。

両者とも、個性的でちょっとクセのある人気俳優が主役の映画です。
ただ、やはりというか、味わいはぜんぜん違ってましたね。
それでは、そのあたりのレビューを書いてみたいと思います。

綾瀬はるかさん目当てで、レジェンド…を観てきました。

時代劇の映画を2本観てきました。
ひとつはザ・レジェンド&バタフライ、そしてもうひとつは藤枝梅安です。

レジェンド&バタフライは、あの岐阜の騒ぎで知りました。
木村拓哉さんが信長役ということで、へぇ~という感じです。
木村さんに思い入れはないのですが、ニュースで見る限りではそれもアリかなと思ってました。

それで、木村さんが主役というだけなら劇場に足を運ぶことはなかったのですが、相手役が綾瀬はるかさんということで、ただそれだけで観に行ってきました。仁や八重の桜など、綾瀬さんの時代劇は定評がありますし、そんな彼女が帰蝶役であれば、ぜひ観てみたいと思ったのですね。

それで、映画の方は期待通りに、綾瀬さんの帰蝶がとても素敵でした。運動神経抜群の綾瀬さん、殺陣や乗馬のシーンがとても様になっていてかっこう良いです。そして、凛々しくたくましくて、でも実のところは一途な乙女というキャラがハマり過ぎていて、もう綾瀬ファンとしては言うことありません。とにかく、本作での綾瀬さんもとてもかわいいです。

ということで、綾瀬はるかさんのファンとしては、すごく満足できる作品でした。
彼女が好きな人なら、観て損はない映画だと思います。

木村さんの信長は、あれは信長ではないです。

ただ、綾瀬さんの帰蝶はいいのですが、木村さんの信長がかなり微妙です。
ぶっちゃけ、あれは信長ではないですね。
いろいろと解釈はあるのでしょうが、それでも、ちょっと違和感が拭えませんでした。

ちなみに、信長というのは、現代人でいうとスティーブ・ジョブズでしょうね。
知性と胆力と強烈な実行力を兼ね備えたカリスマで、目的遂行のためには手段を選ばない。
そのキレッキレですこし破壊的なキャラが、信長の魅力だと思うのです。

ところが、レジェンド&バタフライで木村さん演じる信長は、ものすごく俗人です。
正直、あれでは本当にただの間抜けなうつけですね。
ですので、デフォルトな信長像を期待していると、とても戸惑ってしまいます。
というか、信長をあれだけの俗人にしてしまうとは、これはすごい冒険だとも思いますね。

ただまぁ、この映画は想定外にラブコメです。
となると、あの俗人信長もアリなのかもしれません。
そして、木村さんはほぼ完ぺきに、そんなラブコメ用のキムタク信長を演じていました。
そのような意味では、木村さんはプロの仕事をしているとは思いましたね。

また、それに伴う明智謀反の解釈も、実に現代的でおもしろかったです。
でも、でもやはり、あの信長は違和感ですね。
70周年記念として、このような作品を企画した東映が、ちょっと凄すぎだと感じました。

トヨエツ梅安で、お口直しをしました。

ということで、綾瀬さんには満足ながら、すこし欲求不満だったレジェンド&バタフライ。
そこで、もうすこしオーソドックスな時代劇を観たくなって、翌週に藤枝梅安を観てきました。
こちらは、トヨエツこと豊田悦司さん主演の必殺仕掛人モノです。
原作やキャストをみる限り、おもしろくないワケないといった感じの映画ですね。

それで、実際に観てみると、こちらもキムタク信長に負けないぐらいトヨエツ梅安です。
豊田さん、梅安を演じるにあたって坊主頭にはなってはいますが、やはりトヨエツです。
あの声、あのしゃべり方が独特で、観る側としてはどうしても意識せざるを得ないですね。
そして、相変わらず、とてもエロくてセクシーです。

ということで、思いの外トヨエツ色が強い梅安だったのですが、でもキムタク信長のような違和感はありません。逆に、あのエロくてセクシー、そしてダークな感じが梅安のイメージにドンピシャで、この辺りはさすが演者豊田悦司の真骨頂という感じでしたね。

また、脇を固める役者さんたちもみな達者で、彦次郎の愛之助さんもよかったですし、あとは天海祐希さんがハマりすぎで圧巻でした。内容としては歓喜懲悪のベッタベタな時代劇で、期待以下でも以上でもなく、本当に期待通りの出来栄えで満足でしたね。エンドロールの椎名桔平さんには驚きましたが、続編もぜひ観に行きたいと思います。

それにしても、この梅安というキャラクターは信長と同じぐらいに、いろいろな人が演じているのですね。一番の有名どころですと緒形拳さん、隠れた人気があるのが渡辺謙さん、そしてテレビドラマシリーズなら、(梅安ではないですが)藤田まことさんですね。また、さいとうたかをさんのゴルゴ13バージョンもあるようです。

劇画版の梅安は、思わず大人買いしてしまうところでした。そして、そもそもの池波正太郎先生の原作に惹かれます。お口直しのつもりでしたが、ちょっと梅安ワールドどっぷりになりそうですね。これも、ひとえにトヨエツ梅安がおもしろかったからでしょう。豊田悦司が好きな人、そしてレジェンド&バタフライですこし欲求不満の人には、お勧めの映画だと思います。