オペレータはお医者さん
トラブルシューターです。
50才でコールセンターのオペレータをはじめました。
在宅でMicrosoft Office のインストールを案内しています。
基本的には、インストールとセットアップのご案内です。
しかし、実際はトラブルに関するお電話が8割です。
わからない、うまくいかない、エラーが出た、といった感じですね。
このお仕事の肝は、お客様の訴えから何が起きているのかを、すばやく的確に把握するところにあります。
警察の捜査で初動捜査が大切なのと同じですね。
どんな仕事でも、最初の出だしが肝心です。
ここを間違えると、10分で済む話が1時間コースになることもあります。
最初の頃は問診に失敗してロング対応になってしまうことも多々でした。
今は、納得できるまで問診します。
そして正確に問題を把握し、適切な処置を施して解決する。
これがバッチリ決まったときは快感です。
正に、気分はパソコンのお医者さんです。
お客様の訴えかたは様々。
同じ内容でも、お客様の訴えかたは様々です。
単に「使えないんだけど」というお客様もいらっしゃいます。
そうかと思えば、これまでの経緯を延々ご説明される方もいらっしゃいます。
丁寧な方ですと、数十年にわたるご自身のパソコン経歴まで披露されますね。
これらの訴えから、どんなトラブルが起きているのかを探っていきます。
確認項目は、主に次の3点です。
- どんなエラーが出ているのか?
- いつからエラーが出ているのか?
- エラーがでる直前に何をしたのか?
これって、お医者さんの問診に似ていますね。
- 痛いのはどこなのか?
- いつから痛いのか?
- 痛くなる直前に何をしたのか?
どんな分野でも、問題解決の手法は同じようです。
そして 何が起きているのかが分かれば、問題は9割解決したようなものです。
あとは粛々と、適切な処置を施すだけですからね。
申告間違いは致命的
対応していて困ることのひとつに、申告間違いがあります。
例えば、「Office365」とおっしゃるのでサブスクリプションモデルかと思って対応していたら、実はプレインストールモデルだったということがあります。
これなどは、申告では 血液型が A型なのにちゃんと調べたらB型だったと同じですね。
製品によっては、インストールや復旧方法が違うことがあります。
間違ったままご案内を続けては、致命的な事にもなりかねません。
輸血のとき、血液型は申告ベースではなく必ず検査をするようです。
私も、お客様の申告は参考程度で、必ずプロダクトキーのカードで製品を確認しています。
一番困るのは素人診察
これが一番大変ですね。
簡単なお話でも、無駄に難しくなってしまいます。
うまくいかないのはおたくのせいだとおっしゃるお客様。
ライセンス情報がサーバーから削除されていない、早く対処しろとの訴えです。
ライセンス情報は関係なく、単にインストールの手順が違うだけなのに、思い込みが強くてなかなか納得していただけません。
なまじ、自分はパソコンに詳しいとの自負があるので大変です。
このお仕事をするようになって、所信を述べる患者が一番やりづらいというお医者さんの気持ちがとてもよく分かるようになりました。
専門家に問題解決をお願いするときは、聞かれたことにできるだけ正確に答えて、あとはすべてをゆだねることですね。
なんだかんだいって、これが一番早く問題を解決できる方法です。
印籠を渡すのもお仕事のひとつ
毎日、いろいろなお問い合わせを受けます。
数分で直る軽症のモノから1時間以上の重症案件まで様々です。
そして、中には解決不能の案件もあります。
オペレータも神様ではありませんからね。
ブラックジャックのような名医でも、死んだ人を生き返らせることができないのと同じことです。
そのようなときに、きちんと宣告して納得いただくのも、このお仕事の大切なところですね。
もう何をやっても無駄だと分かっていても、あえて色々と処置してみることもあります。
一昔前のお医者さんが、もうダメだと分かっていても心臓マッサージをするのに同じです。
問題が解決できなくても、最後にお客様が納得できれば仕事としてはマルなのですね。
処置なしのお客様に上手に印籠を渡すことができるようになって、ようやくこの仕事に自信が持てるようになりました。
そんなところも含めて、 つくづく、このお仕事はパソコンのお医者さんなんだなぁって思います。