アナと雪の女王2【映画レビュー】
昨年末の話になりますが、アナ雪2を観てきました。
まぁ、よくある話のディズニーアニメで、おおよそ中年男が観るような映画でもないのですが、このシリーズ、初回作から心惹かれてしまいます。
そんな50歳Bike乗り視点からの、アナ雪2レビューです。
とてもよくできた続編です。
まずは、この一言に尽きますね。
一作目は一作目で完璧に完結した話でしたが、それが見事に伏線化されています。
ここまで前作をダシにしている続編もないのではないのでしょうか?
数ある名作続編の中でも、これはピカ一のレベルに入ると思います。
前作まではちょっと憂いのあるエルザが、今作では見事に開放されていました。
彼女のファンとしては嬉しい限りですね。
実はこのシリーズ、個人的に姉のエルザにちょっと思い入れがあるのです。
今回は、その辺りの事をつらつらと書いてみたいと思います。
エルザは迷惑者??
「エルザって迷惑者だよね。」
これは、一作目をみたときのウチの息子の感想です。
私としては想定外な感想で、ちょっと驚いてしまったのでした。
そして、YouTubeでみかけたある解説動画も同様の捉え方で二度びっくり。
今度の映画は、周りに迷惑ばかりかけていたエルザが大活躍との解説です。
アナ雪のエルザ、一般的にはそーゆー捉え方をされているワケなのですね。
ちなみに、息子のエルザ解釈は以下の通りです。
父と母が亡くなった後、エルザはお城に引きこもってしまった。
妹のアナはエルザに遊んでもらえず、ずっと寂しい思いをしてきた。
それで、20歳になったエルザがようやく引きこもりをやめてくれた。
そのタイミングでアナが恋人を紹介したら、よく話も聞かず突然ブチ切れ。
またもや全てを放り出してひとり家出。
そのあおりを受けて、国は万年氷河状態のありさま。
ホント、エルザって迷惑な奴…。
なるほど、こんな解釈があるのかと目から鱗でした。
というか、よく考えれば、単純にこのような解釈をするのが自然なのかもですね。
しかし、50歳の中年男には、このエルザの孤独と苦悩が手に取るように分かります。
そして、いたく同情してしまうのですね。
その辺り、以降に詳しく述べてみたいと思います。
いろいろな事を抱えて苦悩する長女
まずは、エルザの置かれた立場です。
よく考えると、結構大変な立場です。
エルザは、アレンデール王国の王女です。
長女の身ですから、将来は国をしょって立つ立場ですね。
まずは、生まれながらに国王の重責という仕事上の悩みがあります。
しかも、甘えたいときに親はなしです。
妹のアナは「お姉ちゃん遊ぼう!」と、無邪気に甘えてくるばかりです。
しかし、自分は長女なのでしっかりしなくてはなりません。
このように、エルザは家庭の悩みも抱えています。
挙句、彼女には制御不能な魔法の力が備わっています。
これって早い話、難病をかかえているようなモノですね。
バリバリ動きたくても体が思うように動かないという、エルザ第三の苦悩です。
このために、エルザはお城に引きこもらなくてはなりませんでした。
こんなエルザをみてると、年少時分に観た夢千代日記というテレビドラマを思い出します。
あのドラマの主人公である夢千代も、いろいろ悩みを抱えた憂いの長女キャラでした。
相当な美人なのに、彼氏ひとり作るヒマもないほど苦悩しているところも似ていますね。
なので、一作目でエルザがブチ切れて氷の城に引きこもる過程は、とても同情できます。
だってそうでしょう。
仕事のこと、家庭のこと、そして自分自身の体のこと。
これだけたくさんの悩みを抱えていろいろ大変なところに、今度は妹のアンの暴挙です。
ナンパされた男とその日のうちに結婚するなどと言い出す無責任でわがままなアン。
これでは、私でもブチ切れますね。
エルザが、レット・イット・ゴーと叫びながらノースマウンテンに向かうシーン。
この有名なシーンは、彼女の心の露呈という意味からも圧巻だと思います。
抑圧されていたエルザが解き放たれる
一作目は妹のアナが、それでもその身を犠牲にして姉を救うというオチでした。
エルザ押しの私としては、どこか釈然としないところもありました。
それが、今回の続編で見事に回収昇華されています。
物語は、前作から3年後の設定です。
エルザもアナも、そしてアレンデールの人たちも、みんな平和に暮らしています。
アナは相変わらず、無邪気で社交的です。
彼氏のクリストフともいい感じで、まぁ器用な妹キャラですね。
それと比べて、エルザはやはり悩める長女キャラです。
彼氏がいる雰囲気でもなく、アナとクリストフと一緒に遊んでいるような体たらくです。
そして悩みはないハズの割には、どこか憂いて疲れてます。
それで紆余曲折、エルザはアレンデールの女王などに収まりきれる器ではなかった。
これが、今回の物語のオチになります。
今まで持て余し気味だった魔法の力は全開で解放、そしてエルザ自身も解き放たれます。
持てる能力を最大限に発揮して果敢にアートハランを目指すその姿は、格好良すぎですね。
強き長女の魅力爆発で、CGのアニメキャラなのに完全に心奪われれてしまいました。
多くのレビューでは、最終的に髪を下ろしたエルザの姿が称賛されています。
しかし私は、あの荒れた海に向かう直前、髪を後ろに束ねるシーンに惹かれますね。
あそこには、困難に立ち向かうたくましき女性の美しさが凝縮されていると思います。
結局のところ、私は長女キャラが好き
物語は、エルザが人間と精霊の橋つなぎという、平和の象徴に昇華します。
そして、空席となったアレンデール国の女王はアンが引き継ぐという形になります。
実にディズニーらしい大団円ですが、第一作よりもスッキリですね。
あの甘えっ子だったアンも、とてもしっかりした女性に成長しました。
あれなら、十分に女王職をやっていけるでしょう。
でも、やっぱり私はエルザがいいですね。
結局のところ、私はしっかり者の悩める長女が好きなんでしょうね。
古今東西、いろいろな事を抱えてひとり苦悩している長女のお姉さんはいるものです。
たとえば、海街diaryの幸とかですね。
基本的に、私はこのような女性が好みということなのでしょう。
ディズニー映画を見て、改めて自分のタイプを再認識させられました。
いい歳して何やってるんだろうと、ちょっと苦笑いです。
しかし、この感じだと、いくらでも続編が作れそうですね。
突然に歌と踊りが始まるという、インド映画にも通じるミュージカルのノリは大好きです。
アナ雪のシリーズ化、期待したいところです。