道迷い遭難の本を読みました。
山の遭難についての本を読みました。
知り合いの山ガイドさんがFaceBookで紹介していて、kindle版をポチリです。
とても怖い内容ですが、山登りに限らず人生の指針になる良書でした。
では、その内容と感想を、書いてみたいと思います。
人生の指針になる良書です。
山の遭難についての本を読みました。
ヤマケイ文庫の、ドキュメント 道迷い遭難という本です。
知り合いの山ガイドさんがFaceBookで紹介していて、kindle版をポチリしました。
書かれている内容はとても怖いのですが、山登りに限らず人生の指針になる良書でした。
オートバイツーリングやパソコンの設定操作、あるいはビジネスなど、応用範囲は広いです。
トラブルに遭遇したとき、人はどう行動すべきかという指針がよくまとめられていますね。
それでは、本書を読んでの私なりの、生き残りのポイントをまとめてみたいと思います。
まずは、達者な人ほど事故を起こしたときの被害が寛大になるという事実を再確認しました。
本書では、26歳の男性が冬の北アルプスで遭難した二番目の事例が典型例です。
その彼は、なまじ体力があるため、無茶な沢下りを決行してしまいます。
そして、凍傷で手の指6本を失うことになるのでした。
片や、三番目の事例では、59歳の男性が北アルプス山中を三日間彷徨い、ほぼ無傷で生還します。
こちらは、元々が体力不足で行動範囲があまり広がらず、それが結果として吉と出たようでした。
これなどは、オートバイと通じるモノがあると思いますね。
オートバイも、達者な人ほど死神に獲られる確率が高かったりしますからね。
戦場では、臆病な人ほど生き残る確率が高いと聞いたことがあります。
やはり、自信過剰はすべてにおいてよくありません。
そして、達者な人ほど、人一倍気をつけなくてはいけないのだと思います。
元来た道を引き返せない心理。
次に、全ての遭難に通じるのは、元来た道を引き返せないという心理的な落とし穴です。
紹介されている七事例中の五件は、これで反セオリーの沢下りをして大ハマりの図式ですね。
客観的には、どうして尾根に上らず沢を下るのかと不思議に感じるのですが。
しかし、実際に昨秋、愛染峠でハマりかけた身としては、これが痛いほどよくわかります。
ここは本書の最重要テーマで、あとがきにも詳しく解説があります。
要は、易きに流されるというコトなのですね。
具体的には、沢に向かって降りてしまった以上、それをもう一度登り返すコトができない。
なぜなら、登りは精神的にも肉体的にも大変だからです。
ましてや、一刻も早く下山したい心境では、どうしても降りる方を選んでしまうのですね。
沢を降りれば、いつかは人里に出るだろうという無根拠な甘い期待。
これに脳内が満たされ、遭難人は沢を突き進みます。
そして、滝や崖で滑落して、致命傷を負ってしまう。
これは、昨秋の愛染峠のときと、まったく同じですね。
愛染峠では、一時間かけて登ってきたガレガレの林道を、もう一度走りたくはありませんでした。
地図では、このまま進めば、あと20分でゴールのハズです。
そして、「カブならなんとかなるかも」という無責任な情報が、無謀を後押しするのですね。
結局は、あのときの私も、楽と妄想した方に流されてしまったのでした。
ということで、この心理メカニズムを理解しておくことは、非常に重要だとおもいます。
これは山登りに限らず、人生のあらゆる局面に適用できるTipsといっても過言ではないでしょう。
トラブルを最小限にするためには、止まって、引き返して、元に戻る勇気が、何よりも必要です。
死んでたまるかという強い信念が、一番大切です。
そして、最後の最後にモノをいうのは、「死んでたまるか」と強く念じるコトですね。
本書における七つの事例では全員が生還していまずが、そこにはひとつの共通点があります。
それは、どの方もどこか飄々として悲壮感がなく、精神的な生命力の強さがあるのですね。
実際、私自身も、それでここまで生き残ってきたという実感があります。
本書では、「運が良かっただけ」って表現も、多々見受けられます。
確かに、その側面は否定しません。
ただ、この精神的生命力が、運を呼び込んでいるような気がしないでもないですね。
「死んでたまるか」と開き直ることで冷静になり、道が開けることもよくあります。
結局のトコロ、最後の最後まで諦めてはいけないのだと思いました。
ということで、実践的サバイバルを疑似体験できる良書でした。
ちなみに、山で遭難してヘリなどが飛んでしまうと、200万円アップの請求がくるようです。
山登りをするときは山岳保険が必須だと、このあたりの認識も新たになりました。
いずれにしても、カブで山歩きをするときは、よくよく注意して程々に楽しもうと思います。