900SSとガンマのアクスルシャフト比較
900SSとガンマのアクスルシャフトを比べて、いろいろと思うトコロがありました。
双方、似たようなキャラのBikeですが、生い立ちはまったく違うことがわかります。
今回は、そのあたりのことを、徒然に書いてみたいと思います。
後輪まわりの造り込みが、全然違います。
今回、修理やメンテナンスで、900SSとガンマの後輪をそれぞれに外しました。
そして、双方のアクスルシャフトを眺めて、徒然と思うことがあります。
まずは百聞は一見に如かずということで、シャフトの写真です。

上のφ20がガンマのシャフト、そして下のφ17が900SSのシャフトです。
まずは、250ccのシャフトより900ccの方が細いことに、ちょっと驚いてしまいますね。
また、ガンマはボルトとナットの体ですが、900SSは両端にネジが切られてのナット止めです。
900SSの、このあまりに低コストな構造には、ぶっちゃけ愕然としてしまいました。

この造り込みの違いは、チェーン調整の部分も同様です。
9000SSは、アルミのスイングアームに直接鉄の調整ネジがねじ込まれています。
これでは雨水がかかることにプラス、鉄とアルミとの電位差で固着するのも自明ですね。
スイングアームを2回も交換するハメになったのも、元はといえばこれが原因でした。

それに対してガンマは、このような入れ子部品の構造です。

これなら、電位差でネジが固着することは絶対にないですね。

しかも、ガンマのバーツはすべて、量産性に優れた板金モノです。
それに対して900SSは、ダイカストで成形したパーツを単純に溶接しているだけですね。

あらためて、この造り込みの違いに、いろいろと思いを馳せてしまうのでした。
どこをどうみても、ガンマの方がお金がかかっています。
このリア周りひとつとっても、ガンマは何度もデザインレビューしていることが伺えます。
それも、生産や購買部門を交えて、でなければ、あのような構造には絶対になりません。
それに対して900SSは、ベテランの開発者が唯我独尊で図面を引いている感じがしますね。
あまり機能や量産性が考慮されていないのは、これはメーカーとしての姿勢の違いでしょう。
実際、900SSは、乗り出し価格が180万円でした。
そして、ガンマは60万円です。
これだけ造り込みに差があるのに、価格が3倍も違うことに驚きますね。
正直、900SSは、ぼったくり価格といっても過言ではないと思います。
とはいえ、赤のトラスフレームは、それなりに手間暇かかもしれません。
しかし、ガンマのオールアルミフレームも、かなり立派で負けてはいないと思いますね。

そもそも、サスのリンク機能の複雑さでいけば、ガンマの方が断然上です。

ガンマの2stエンジンに対して、900SSはデスモドロミックという意見もあるでしょう。
しかしデスモなど、実際はカブのOHCエンジンに毛が生えたような代物です。
そもそも、900SSは前モデルからの使いまわしエンジンですが、ガンマは新開発ですしね。
そして、この造り込みの違いは、実際に乗ってみれば一目瞭然。
明らかに、250ccのガンマの方が、乗り心地が良いのです。

もちろん、900SSもノーマルの分厚いシートなら、そこそこの乗り心地ですけどね。
結局、900SSは、この分厚いスポンジで、造り込みの甘さを糊塗しているのでしょう。
これで180万円もするのってどうなのと、あらためてそう思うばかりです。
製造業の王道をいくスズキと、ニッチ狙いのドゥカティ
このようなことを書くと、日本とイタリアの国民性の違いといった話になりがちです。
しかし、これは国民性云々ではなく、単純に企業戦略の違いですね。
ガンマを造ったスズキは、量産効果で良いものを安く大量にという、正に製造業の王道戦略です。
それに対してドゥカティは、俗にいうニッチ狙いの高付加価値戦略というヤツなのでしょう。
まぁ、高付加価値といえば聞こえは良いですが、要はぼったくり商法ですね。
造り込みや量産性はそこそこに、とにかくドゥカティは雰囲気勝負です。
900SSなども、型遅れのモデルを新デザインの外装パーツでリファイン。
そして、私のような田舎者に高価で売りつける作戦なのですね。
正に、ロマンティックな幻想を抱かせる【イタリア製品】ならではの業だと思います。
ただ、これもスズキとドゥカティの企業規模を考えれば、当たり前の話でして。
弱小企業のドゥカティがスズキと同じことをしても、勝ち目はありません。
逆に、大型オートバイという商品の特性を知り尽くした、賢いビジネスのやり方だと思います。
この、フェラーリあたりを源泉とするドゥカティの高付加価値戦略という名のぼったくり商法。
最近は、本当に極まった感じがします。
たとえば、スーパーレッジェーラなど、1000万円もするのに即完売との由。
たぶん、あのオートバイ、原価的には10万円もしないハズですから、マジメに極めてますね。
200psで乾燥重量150kgのスペックだけなら、ホンダやスズキでも実現できるとは思うのです。
ただ、それを1000万円で売り切るのは、ホンダやスズキには無理でしょう。
このブランディング力は本当にすごいと、感心するばかりですね。
ただ、ドゥカティ陣営も、好きでこんな商売をしているワケではないと思います。
古からのファンとしては、そう信じたいトコロですね。

それにしても、よくもこのようなオートバイに180万円もの大枚をはたけたモノです。
我ながら、若かったと思いますね。
そしてつくづく、世の中の裏事情がみえてしまう最近の自分に年齢を感じてしまいます。
何も知らなかった若い頃は、900SSのようなBikeでも、素直に夢中になれて楽しめました。
しかし、今は、正直無理ですね。すくなくとも、これに180万円を出すことはできないです。
やはり、若いときに手に入れておいて良かったと、逆説的に痛感するばかりですね。
ということで、900SSとガンマのアクスルシャフト比較から、徒然と書いてみました。
どちらも、惚れ抜いて手に入れたBikeなのに、おもしろいモノだと思います。
とにかく、ここまで付き合って、いまさら造り込み云々を気にしても仕方ありません。
引きつづき、双方とのお付き合いを楽しみたいと、あらためてそう思うばかりです。