あいつとララバイ、私の原点

あいつとララバイは、私に多大なる影響を与えてくれたBikeマンガです。
そこに描かれているのは、Bike乗りにとってのパラダイス、そして私の人生の原点です。
今回は、そんなあいつとララバイの世界観を、私なりの視点でご紹介していきます。

きっかけは、バリバリ伝説でした。

あいつとララバイは、少年マガジンに連載されていたBikeマンガです。
作者は楠みちはるさん、シャコタン☆ブギや湾岸ミッドナイトなどでも有名ですね。

元々は、バリバリ伝説を読みたくて購読を始めた少年マガジンでした。
しかし、同時連載されていたあいつとララバイに、心奪われてしまったのです。

ちなみに、バリバリ伝説は、1980年代におけるBikeエリートの物語です。
峠からサーキットに進出し、最終的には世界GPまで駆け上がる。
正統派ライダーが謳われはじめた、そんな時代の理想郷が描かれていました。

もちろん、バリバリ伝説も非常に面白い作品です。
特に、グンと秀吉で戦う四時間耐久のくだりは、誰にでもわかる感動のストーリーですね。

それに対してあいつとララバイは、ストリートライダーの喜怒哀楽が描かれた作品です。
バリ伝がオートバイ乗りの理想郷を描いたモノなら、ララバイは桃源郷ですね。
とにかく、話も登場人物も、そして作画も、Bike好きの琴線に触れるモノがあるのです。
そういう意味では、ララバイは少しマニア向けの作品なのかもしれません。

あらすじなどについては、ウィキペディアなどに詳しいです。
以下は、ある程度作品をご存知の方を前提にした、私の独断と偏見論になります。

ちなみに、私がこの作品に出合ったのは、ちょうど北海道編が始まったころでした。
実はこの作品、作風や登場人物のキャラが、連載の間にかなり変遷しています。
今回の独断と偏見論は、北海道編以降をベースにしていますので、よろしくお願いします。

とても魅力的な登場人物

連載期間が8年間、単行本は全39巻の本作には、たくさんの人物が登場します。
この登場人物すべてを語るとなると、それだけで専門ブログが必要になりそうです。
ということで、ここでは特に私がお気に入りの数名をピックアップしてご紹介していきます。

研二クン

言わずと知れた、本作品の主人公ですね。
楠先生の二枚目キャラ、シャコタンのコージや湾岸のアキオと同じイケメンです。

研二クンは、横浜の高校生で一年ダブり中です。
その割には、学校はサボり気味で、朝からBikeを乗り回すような生活ですね。

乗ってるBikeはゼッツー、「いっけー、俺のゼッツー!」は彼の決めゼリフです。
高校生で大型Bike、今ではあり得ない設定に時代を感じますね。

研二クンは、基本的に一匹狼で、誰かとつるんだりグループに所属したりはしません。
不良少年という設定ですが、個人的には不良よりも自由人という感じですね。

もちろん、Bikeマンガのお約束通り、ライディングスキルは超絶です。
ノーヘルで全損レベルの事故をしても問題なしの、不死身のライダーです。
自称、ナンパでハンパなヤツですが、ことBikeになると熱く、きっちりスジを通します。

というか、このライディングスキル以上に超絶なのが、彼の如才なさですね。
とにかく、研二クンは明るくてポジティブです。
そして、とても人懐っこく、どんな人の懐にもスッと入っていける才能を持っています。

本作には、こだわりが強くてクセのある不良やBike乗りがたくさん出てきますけど。
気づくと、みんな研二クンのお友達ですから、ある意味ライテク以上に凄いと思いますね。

そんな研二クンのキャラは、まさに1980年代そのモノです。
この作品には、1970年代の、ちょっと影のある雰囲気があるのですが、それを研二クンの1980年代キャラが塗りつぶしていくようなところがありますね。
それが、本作品の魅力の一つですし、あれだけ人気を博したことの要因なのかもしれません。

恭介

関西出身の高校生、北海道編からは研二クンの相方的な存在です。
たとえれば、ルパン三世に対する次元大介的な立ち位置ですね。

関西弁でちょっと3の線な恭介ですが、登場当初は格好良い関西ヤンキーでした。
Bikeの腕も、研二クンほどではないにしても、横羽逆走バトルで死ななかったレベルです。

そして、恭介が駆るMHRが、これが最高級に格好良いのですね。
しかも、これで族のリーダーというぶっ飛びの設定です。

ララバイは研二クンのゼッツーというイメージですが、私は恭介のMHRが一番好きですね。
私のBikeが900SSなのも、恭介の影響を半分ぐらいは受けています。

そんな恭介は、1980年代ド真ん中の研二クンに対して、少し1970年代テイストです。
ちょっと不器用で古臭く、そして純情な日本男児の典型ですね。
将来は家業を継ぐという枷もあって、どこか浮世離れした研二クンよりも常識人です。

また、とてもしっかり者で、どんな困難も自力で解決する頼もしさがあります。
北海道ツーリングで、トラブったBikeを押す後ろ姿は素敵でしたね。
あれには、じゅんでなくても惚れると思います。

そして、彼もまた、熱いハートを持った、とても友達想いのいいヤツです。
私は、そんな恭介が一番好きだったりします。

沢木

横浜キャッツのヒロシや横須賀ジミーなど、魅力的な不良少年が多数登場の本作。
その中でも一番好きなのは、やはり研二クンの憧れの先輩、沢木竜一ですね。

なんといっても、乗ってるBikeがXLCRですよ。
しかも、ノッてくるとステップにつま先立ちが最高過ぎますね。
ちなみに、私もつま先立ち派なので、沢木には、とてもシンパシー感じます。

友美ちゃん

言わずと知れた、研二クンの彼女です。
この人も研二クンに劣らず、明るくポジティブで如才ないですね。
ただ、あまりにも優等生すぎて、色気はじゅんの方が上かなぁって個人的な感想です。

いつもいつも、友美ちゃんは自由人の研二クンに振り回されてばかりいます。
でも、「私が選んだ人だから」ということで、友美ちゃんはそれを受け入れているのですね。

さすが、Bike桃源郷のマドンナだけのことはあると思います。
この自己責任を全うしようとする姿勢には、なにかBike乗りに通じるモノがありますね。
結局、不良でも優等生でも、人間にとって大切なのはスジを通すことなのでしょう。
そして、そんな友美ちゃんもまた、とてもいい女だと思います。

死神ライダー赤木

作品には、たくさんの走り屋が登場します。
水曜日のシンデレラや首都高キング、あるいはスターダストブラザースなど。
ネーミングからしてクラクラきそうなキャラが、次から次へと現れます。

その中でも、ダントツで格好良いと思うのは、やはり死神ライダー赤木ですね。
この超絶素敵すぎるカットは、私の一番のお気に入りです。

乗ってるBikeが、マッハSSというのも良いですね。
というか赤木のキャラは、このマッハがモチーフになっているように思います。

曲がらない、止まらない、まっすぐ走らないとまで言われた敷居の高さ。
発売直後に多数の死人が出たというダークな伝説。
そして、2ストロークエンジンの刹那的な雰囲気。
そんなマッハのイメージが、この赤木のキャラに結晶していると思います。

この車両と人物のマッチングに関して、楠先生には天才的なところがありますね。
本当にクルマやBikeのことを知り尽くしているのだろうと感服するばかりです。

首都高キングとスターダストブラザーズ

ちなみに、走りの格好良さなら首都高キングが一番だと思います。
たとえばこのカットなど、速いヤツの雰囲気がとてもよく出ていますね。

また、舞台が首都高ゆえのアングラ感も、独特の雰囲気ですね。
ここからスピンアウトしたのが湾岸ミッドナイトかと、思わず勘ぐってしまいます。

そしてストーリー的には、やはりスターダストブラザーズでしょう。
不幸な事故で片割れになった星屑たちの再生の物語。
結局、走ることでしか解決しないといういつものオチですが、心に沁みるモノがありますね。
湘南の風景と相まって、切なくも希望が持てる大好きなお話です。

オートバイ乗りの桃源郷

ということで、私の独断と偏見によるあいつとララバイ論でした。
作品を知らない人には、一体何のことだという記事だったでしょう。
ここまでお付き合いいただいたことに、感謝いたします。

この記事を書くにあたって、あらためてララバイのファンブックを購入しました。
そうしたところ、この作品は楠先生の、ほぼデビュー作なのですね。
試行錯誤もかなりあったようで、作品としての一貫性に乏しい部分も否めません。
でも、この歳になって読み返してみても面白いのですよね。

やはり、これはBikeの魅力がエッセンスとして作中に散りばめられているからでしょう。
不良グループ抗争編、研二クンは無意味に群れることを避け、Bikeのみを追求していました。
そしてバトル編では、難しいことを抜きにしてまずは走ろうというスタンスです。

この、Bikeに対して感じる、理屈抜きのワクワク感や気持ちよさ。
これらを、ただただ追い求めているところが、本作の真骨頂なのですね。
エリート街道を突き進むがゆえに小難しくなってしまったバリ伝とは、対照的だと思います。

それと、作品全編に流れる自由を愛するスタンスも魅力的です。
ララバイを読むと、やはりオートバイは自由を象徴する乗り物だと再認識させられますね。
主要な登場人物がノーヘルというのも良いと思います。

また、自由と表裏一体の自己責任も、スジを通すという表現で見事に表現されていますね。
そしてそれが、全編にわたる痛快さにつながっていると思います。

いずれにしても、あいつとララバイはオートバイ乗りの桃源郷ですね。
さすが、若干24歳でBikeに対する悟りを開かれた、楠先生ならではの作品だと思います。
もし、研二クンのような生き方ができたら、Bike乗りとしてこの上ない幸せですね。

もちろん、桃源郷ですから、現実にあのような生き方をするのは難しいでしょう。
でも、研二クンらの自由とオートバイを謳歌する姿には、今でも惹かれるモノがあります。
やはり、この作品は、私の人生の原点であり、バイブルですね。

ということで、興味のある方は、こちらからどうぞ。
一番のおすすめは、18~19巻の北海道編です、
そして、それが気に入ったら、34~37巻のスターダストブラザーズ編ですかね。
ぜひぜひ、お試しください。