壊れたカブのキャリアを溶接しました。

壊れたカブのキャリアを、溶接で直してみました。
今回は、自分のモノではなく友人のキャリア修理です。
はじめて他人のBike部品を修理するということで、すこし気負いすぎてしまいました。
そして溶接は、相変わらず難しいです。

友人のキャリア修理を請け負いました。

SNSのBike仲間から、カブのキャリアが壊れたので、溶接で直せないかと連絡がきました。
友人は都会のマンション暮らし、環境的にも自分で溶接は難しいようです。
壊れたキャリアの写真を見る限り、手持ちの溶接機で直せそうな感じでした。
そこで、ついつい安請け合いしてしまったのでした。

数日後、友人からキャリアが届きました。
現物を確認すると、板金とパイプの接合部分、後2か所がバックリ破断しています。
特に、右側は板金が1/3以上欠けていて、ちょっと手こずりそうですね。


ネットで調べてみると、ここが壊れるのは必然なのでした。
このキャリアは、板金部分でBikeに接合され、その板金にパイプが吊られている構造です。
そして、パイプの後端に荷重がかかることで、後ろ側の溶接部分が破断してしまうのですね。

このキャリアについては、パイプ後端にステーを追加するのが定番の対策のようです。
そこで、今回は破断部分の溶接の外に、補助ステーを追加することにしました。
修理の方向性が定まったところで、さっそく作業に取りかかります。
もちろん、使用する溶接機は、いつものスズキット ホームアークナビプラスですね。

まずは、破断した部分を溶接します。
左側は、我ながらよくできました。

次に、一部が欠けている右側です。
残っている部分を溶接して、欠けた部分は手持ちのワッシャーなどを溶かし込んで成形しました。

サンダーで削っては溶接で盛ってを繰り返して、形を整えていきます。

表側ができたら、補強のために裏側も溶接します。

ここで、すこし長めにアーク当てたら、パイプに穴開いてしまいました。
このあたり、小型低電圧溶接機あるあるですね。
穴は、なんとか無事に埋めることができましたが、やはり溶接は難しいです。

いじりすぎて、大ハマリしました。

外れた部分が溶接できたトコロで、今度は補強用のステーを準備します。
これについては、愛染峠で破断した私のキャリアを流用することにしました。
キャリアのステー部分を、サンダーで切り出します。

これを、このような感じで取り付けたいと思います。

ここで、さきほど溶接したトコロに、溶接し損ねての穴を発見しました。

強度的には問題はありませんが、ちょっと気になります。
他人のキャリアというコトもあり、修正しようともう一回溶接してみました。
ところが、これが本当に余計な作業でした。

たぶん、何度も溶接と削りを繰り返したので、ワークが薄くなっていたのでしょう。
穴を埋めると、そのアーク熱で他の部分に穴開いてしまう無限ループに陥ってしまったのです。
ネジなどを溶かして盛ってなんとか回復しましたが、キャリアがすこし歪んでしまいました。
後悔先に立たず、友人のキャリアというコトもあり、さすがに凹みましたね。

ただ、この期に及んで四の五のしても仕方がないです。
これまで、溶接は時間をかけてじっくり溶かし込むのが基本だと思い込んでいました。
しかし、穴埋めは、瞬間的な点溶接が有効なのですね。
怪我の功名ではありませんが、溶接についてまた新たな知見を得ることができましたね。

なんとか仕上げて、友人には満足してもらいました。

破断部分の溶着にケリがついたところで、補強用のステーを溶着します。
まずは、キャリアとステーを組み合わせるために、パイプをサンダーで削りました。

あとは、ステーをキャリアにボルトで留めて、位置決めできたところで一気に溶接です。
見た目はともかく、こちらはうまく溶着できました。

最後に、スプレー塗装で仕上げですね。

裏側は、このような感じです。

ハマりにハマった、右側の溶接部です。

ハンマーでガンガン叩いても外れないので、強度的に問題はないと思います。
ただ、見た目と歪みが残念ですね。

ということで、仕上がったキャリアを友人に送りました。
念には念を入れて、最初は様子見ながら使うようにというお便りを添えました。
そうしたところ、送った三日目に無事に取り付けできたと、SNSに情報がアップされました。
すこし心配だったアイリス箱も問題なく取りつけられたようで、まずは一安心です。

友人も満足してくれたようで、うれしい限りです。
ただ、他人のオートバイ部品ということで、気疲れしましたね。
次回、チャンスがあれば、もっと良い仕上がりになるようにがんばりたいです。
そのためにも、ひきつづき溶接技術を鍛錬していきたいですね。