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雑記

ミナリ – セリのようにたくましく

投稿日:

先週末、映画を観てきました。
そして、とても感動しました。
映画で、あれだけ魂を揺さぶられたのはひさしぶりでしたね。

ということで、感じるがままにレビューを書いてみたいと思います。
なお、以下は思いっきりネタバラシですので、未鑑賞の人はご注意ください。

韓国移民のお話です。

先週の日曜日、ミナリという映画を観てきました。
予告のときからいいかもと思っていたのですが、期待以上の作品でした。

思わずパンフレットも買ってしまいました。
映画のパンフレットを買うのも、十数年ぶりのことです。
そして、今もパンフレットを眺めながら、余韻に浸っています。

ちなみに、Yahoo!映画の評点は3.4、初めてネットの評価があてにならないと思いました。
また、おばあちゃん推しのレビューが多いですけれど。
個人的には、ジェイコブとモニカ夫婦の物語だと思います。

映画は、アメリカ南部アーカンソー州に、ある韓国人一家が移住するところから始まります。
時は1980年代、レーガン政権の米国は、法的にも移民ウェルカムだったようですね。
そして、韓国からもたくさんの人が移住していたらしいです。

ちなみに、当時の日本は、高度経済成長を極めバブルが始まるころになります。
当時、中学生だった私にとっても、移民として海外で一旗揚げるなど、遠い昔の話でした。
しかし、お隣の韓国は、まだ移民になることが現実なぐらいに大変な状態だったのですね。

主人公の一家は、ジェイコブとモニカ夫婦、それに女の子と男の子の四人家族です。
一家はアメリカに移住後、カルフォルニアでヒヨコの選別を10年間続けてきました。
そして、このままではどうにもならないと、新天地のアーカンソー州にやってきたのですね。

ジェイコブの、「あの国(=韓国)に残るぐらいだったら」というセリフがせつないです。
その姿は、ゴッドファーザー2の若かりしヴィトー・コルレオーネに重なりますね。

異国の地でいくらどん底でも、希望の見えない祖国よりはマシという移民の悲哀。
これは、古今東西変わらないのだと思いました。

人生万事塞翁が馬です。

それでお話の方は、一言で言えば人間万事塞翁が馬という感じですね。
いい事があれば悪いことも起きる、そんな開拓一家の日常が、淡々とつづられていきます。

お父さんのジェイコブは、新天地でなんとか現状を打破したいと、野菜作りに奮闘します。
自力でなんとか水脈をみつけ、なけなしの資金でトラクターを購入し農地を耕すのですね。
韓国野菜には必ず需要があるという目論見ですが、果たしてどうなるのでしょうか。

そして、それを見越したように、不安で不満でしょうがないのが妻のモニカです。
雨漏りだらけのトレーラーハウスに憮然とし、ついに夫に向けて怒り爆発ですね。
この開拓夫婦が織り成す雰囲気が、実にリアルだったりします。

特に、あのモニカの感情は、二人の子の母親としては当たり前のトコロだと痛感しますね。
不甲斐ない夫に振り回される妻の焦燥が、よく表現されていると思いました。
そして、その煮詰まった状況を打破するために、故郷からモニカの母親がやってくるのです。

このあたりも、ぶっちゃけあるあるですよね。
子どもを抱えた母親が一番に頼れるのは、やはり祖母、つまり自分の母親なのですよね。

おばあちゃんは、韓国から唐辛子などをたくさん持ってきます。
それをみて、ホッとしたように涙するモニカが健気ですね。

そして、最初は折り合いが悪かったおばあちゃんと孫も、だんだん仲良しになっていきます。
普通、あれだけ孫からハブられたら心折れそうなトコロですけど。
やはり、海千山千な人は強いですね。

なんか、ひさしぶりに、敬うべきおばあちゃんをみた気がしました。
終盤は、おばあちゃんが心臓の弱い孫の身代わりになったような感じで、泣けましたね。

とにかく、ジェイコブとモニカが愛おしいです。

さて、ジェイコブの事業ですが、こちらは水が枯れたり、取引先から裏切られたりです。
なかなか思うに任せませんが、でも少しずつ少しずつ、前進していきます。

時には、「事業の責任は俺が取るから、オマエは好きにしていい」と弱気のジェイコブ。
そして、いざとなったら自分がカルフォルニアに出ると、覚悟を決めるモニカ。

ある日、一家は息子の病気の検査で街に向かいます。
そうしたところ、息子の病気は奇跡的に回復に向かっていたのでした。
なんでも、田舎の水がよかったとのことで、本当に塞翁が馬的に話が進みます。

ところが、息子のことよりも事業を優先したと、モニカがジェイコブに詰め寄ります。
単にジェイコブは、息子の病院の帰り道に、新規販路を開拓しただけなのですがね。

でも、ここでキレるモニカの気持ちは、とてもよくわかりますね。
また、そんな彼女に納得できないながらも、それを受け入れるジェイコブに激しく同意です。
ここ、本当に夫婦あるあるだと思いますね。

最後は、一家がすべてを失ってしまったような状況になってしまうのですけど。
でも、焼け落ちる小屋を前に、抱き合うジェイコブとモニカがとても良いのです。
極限の状態で、お互いに想いあっていることや、移住を決意したときの誓いに気づく二人。
この展開には、なんかじんわりと、しかし深く感動してしまいました。

結局、夫婦で助け合うというのは、現実的にはあのような感じなのですよね。
いずれにしても、何もないトコロで懸命に生きる二人の姿が、とても愛おしいのでした。

そしてまた、再生に向けて歩み出す一家。
あれだけ夫の事業に否定的だったモニカが、一緒に水脈探しをしている姿が微笑ましいです。
ラストシーン、おばあちゃんのミナリが、そんな一家のたくましさを象徴していました。

ということで、私としては、かなり上位ランクの作品でしたね。
一家を支える立場で独立を体験された人なら、誰でも共感できる作品だと思います。
本作がDVD化したときは、バイブル代わりに必ず購入しておきたいです。
そして、私も引き続き、家族と共にしたたかにたくましく生きていきたいですね。

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