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雑記

恨の文化と春香伝

投稿日:2021年12月9日 更新日:

韓国の恨の文化に関する本を読んでみました。
もちろん、この言葉ひとつで韓国人のすべてが理解できるとは思いません。
でも、あらためてその地域地域に、文化的なテイストは存在するモノですね。
それでは、その辺りのことをつらつらと書いてみたいと思います。

恨の文化について、本を読んでみました。

今年は韓流にハマって、ネットでもそれ絡みの検索をすることが多くなりました。
そうすると、微妙に賢い検索エンジンが、韓流系の情報を届けてくれるようになります。
そのような中で、恨の文化なるモノを知りました。
なんでも、韓国人を理解するためのキーワードとのことです。
その「恨(うらみ)」という部分に興味を惹かれて、少し調べてみることにしました。

ちなみに、日本は恥の文化などと言われています。
その出自が、アメリカ人が書いた菊と刀という本なのは有名な話ですね。

でも、この恨の文化については、出自がハッキリしないようです。
そのためか、ネットでも、その解釈は様々ですね。
この「恨」を、韓国人の逆恨み気質や被害者意識に結び付けて語る論調も多いです。
(特に、日本人が書いた従軍慰安婦絡みの記事にですね。)

日本人バイアスの少ない資料をみるためには、ネットでは少々役不足のようでした。
ということで、見つけた本がこちらです。

李 御寧 著の「韓国人の心」、副題が「恨の文化論」です。
1963年に韓国で発表されて、日本語訳は1983年に刊行のようですね。
そして、その日本語訳刊行に合わせて、「恨とうらみ」という一章が書き加えらえています。

ちなみに、李 御寧さんについては「縮み」志向の日本人という本が有名ですね。
小さいモノに美を認める日本文化を述べた本で、とても好評のようです。

それで、本書ですが、基本的にはエッセーです。
ですので、これで韓国人のすべてが分かるとは思いません。
また、そこを目指した本でもないでしょう。
このあたりは、著者自身が前書きの中で断ってもいます。

この手のエッセイは、著者の思考を楽しむモノですね。
そして、そこから考察のヒントを得られれば御の字かと、そんな感じで手に取ってみました。

ポジティブ志向な「恨」の解釈でした。

本の方は絶版で、電子版もないようです。
県の図書館サイトで調べたら蔵書リストにあったので、サクッと借りてきました。
そして読み始めたら、これがすごい名著でびっくりです。

ひとことでいうと、著者の李 御寧さんは、とてもインテリな方ですね。
ひさしぶりに感嘆できる本で、一気読みしてしまいました。

内容は、主に韓国と西欧や日本との比較論です。
エッセイひとつが4~5ページで、それが51個ほど掲載されています。
エッセイは、古今東西の文学や宗教、哲学などを引き合いに語られていてとても面白いです。
すこし疑問の部分もありますが、軽妙な語り口と相まってスラスラ読めますね。

それで、今回一番参考になったのは、その日本語訳で増補された「恨とうらみ」の章でした。
日本人向けに増補されただけのことはあって、とてもわかりやすいです。

本書によれば、同じ「うらみ」でも、韓国人にとっては「恨」と「怨」は別物とのことです。
「恨」とは、困難や不幸、挫折の中でもなお、切々たる望みを持ち続ける姿勢なのですね。

そして、この「恨」の具体例は、春香伝におけるヒロインの春香なのだそうです。
なるほど、「恨」には、そのようなポジティブなニュアンスもあるのですね。
それなら、韓国内で恨の文化論が受け入れられるのも納得できる話です。

「恨」の具体例である春香伝を読んでみました。

ちなみに、「恨」に対する「怨」は、これは本当の意味での「うらみ」ということで。
具体例は、日本の忠臣蔵とのことです。
なるほど、これはとてもわかりやすい説明ですね。

ということで、今度はその「恨」の具体例である春香伝を読みたくなりました。
なんでも、韓国の忠臣蔵とまで言われる、超メジャーな古典のようです。
(もちろん、その内容は、忠臣蔵とはまったく違いますけどね。)
ということで、こちらも県の図書館から借りてきました。

春香伝の日本語訳は、この高文研の新編岩波文庫版の2つがメジャーです。
岩波版の方がより本格的のようですが、ちょっと敷居も高そうです。
ということで、今回はこちらの新編を読んでみました。

すこし、作者の想いが強すぎるきらいもありましたが、楽しく読むことができました。
なるほど、春香伝というのはこのようなお話なのですね。
そしてその内容が、まんま韓流ドラマで驚いてしまいました。

それは、ストレートな恋愛描写であったり、殴る蹴るのバイオレンスシーンであったり。
あるいは、登場人物たちの激しい感情のぶつかり合いであったり。
そして、お約束の巨悪な権力による不条理や理不尽が主人公たちを苦しめます。

ヒール役の下学徒が、とことんヒールなのも韓流ドラマと同じですね。
存外に我の強いヒロインが、しかしその性格とは裏腹に一途に主人公に操を立てる。

そしてその主人公は、どんな不条理や理不尽にも絶対に屈服しません。
この、絶対に屈服しない姿勢に趣をおくところが、いかにも韓国流ですね。
(これが日本流なら、敵をやっつけるところに趣をおくことになります。)

そんな、韓流ドラマのエッセンスがすべて詰まったような春香伝。
なるほど、すべての物語の源泉はココだったのですね。
韓ドラにはよく刑務所や拘置所がでてきますが、これも春香伝の影響なのかもしれません。
そして、韓流ドラマに感じる異国感のようなモノも、とてもよく理解できました。

たとえば、巷で似ていると言われる半沢直樹と梨泰院クラス。
どちらも復讐ビジネス劇ですが、なにか根本的なところが違うような気がしていたのです。
結局、その違いは、忠臣蔵で怨な半沢直樹に対する、春香伝で恨な梨泰院クラスなのですね。
隣国韓国、浅漬けとキムチのように、似ているようでやはり何かが違っているようです。

たかが隣国、されど隣国

ちなみに、この手の文化論は、捉え方も人それぞれだとは思ってます。
恨の文化を、やせ我慢や屈折した考え方だと感じる人もいるかもしれません。
また、現代韓国人のすべてが、この恨のロジックで行動しているワケでもないでしょう。
決して、ステレオタイプで語って良いテーマではないと思います。

ただ、映画やドラマ、小説といった文芸作品にはですね。
このような地域特有のテイストが、色濃く反映されているモノなのですね。

なんだかんだいって、朝鮮半島は地政学的に大変な歴史を積み重ねてきたところです。
温室育ちのような日本とは、根本的な味わいがやはり違うのでしょう。

いずれにしても、私はこの「恨」のテイストが好きですね。
とても普遍的でナチュラル、ワールドワイドに受け入れられるように感じます。
逆に、忠臣蔵の忠義至上主義の方がエキセントリックのようにも思えますね。

今回の考察で、私がアンチ忠臣蔵である理由も、とても鮮明になりました。
そして、そのような私は、この春香伝がかなりのお気に入りです。
ぜひぜひ、今度は映像バージョンで、そのテイストを味わってみたいと思っています。

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