モガディシュ 脱出まで14日間

モガディシュ 脱出までの14日間を観てきました。
端的にいうと、トップガン・マーヴェリックレベルの傑作です。
そして、あらためてソマリア内戦について、いろいろと考えさせられました。
それでは、そのレビューを書いてみたいと思います。

ひと月半遅れで公開されました。

モガディシュ 脱出までの14日間を観てきました。
こちら山形では、中央よりひと月半遅れての公開です。
昨年の韓国でNo.1という触れ込みの本作。
たしかにその通りで、数ヵ月前に観たトップガン・マーヴェリックレベルの傑作でした。

1991年のソマリア内戦勃発時に、大混迷する首都モガディシュからの脱出劇。
これだけでもハラハラドキドキですが、そこに朝鮮半島の南北問題がからんできます。
とにかく、笑いあり涙あり胸熱あり、そして怒涛のアクション&アクション。
最初から最後まで、とても見ごたえがある121分なのでした。

やはり、昨今の韓国映画はすごいですね。
圧倒感と満足度は、あのトップガン・マーベリックに引けを取りません。
今年のNo.1はトップガンでキマリと思っていましたが、うれしい誤算になりました。

そして、本作で私が一番すごいと思ったのは、あのソマリア内戦の超絶リアルな描写ですね。
実際のところ、そこに期待しての鑑賞だったのですが、本当に満足できる内容でした。
正に、あの内戦の現場に居合わせているかのような臨場感で、とてもよかったですね。
あまりにリアルな描写に、観終わったあとはすこしグッタリしてしまうほどでした。

とても凄惨なソマリア内戦

それにしても、あらためてソマリア内戦とは凄惨なモノだと思いました。
古くは朝鮮戦争やベトナム戦争、クメールルージュのカンボジアにアフガニスタン、あるいはイラクやシリアに最近ですとウクライナなどなど、古今東西悲惨な紛争・内戦はいろいろありますが、個人的にビジュアル面で一番刺さるのがこのソマリア内戦ですね。

破壊し尽された街と、その中を走り回る武装されたピックアップトラック。
そして、銃を携え不敵な笑みを浮かべる兵士たちという、あまりにも暴力的な構図。
ネットではリアル北斗の拳とまでいわれ、まぁ個人的にはリアル・マッドマックスといったほうがピンときますが、いずれにしてもこんな現実が本当にあるのか!?といったところに愕然とさせられました。

無政府状態に陥った弱肉強食の世界、これは映画や小説の中だけの話ではないのですね。
震災や大津波、あるいは昨今のパンデミックなど、古今東西厄災はいろいろありますけど、それらのなかでも、このような紛争・内戦は、もっとも悲惨だと思います。
特に、この手の厄災は出口がなかなか見えてこないところがつらいですね。

もちろん、そのような状況でも人は生きていかなくてはいけないとは思います。
でも、あんな地獄は本当に勘弁、この映画を観てそんな想いを新たにしました。

人には、生きのびるための力があるのかなと思いました。

ということで、ひさしぶりにソマリアのことが気になってネットで検索してみました。
そうしたところ、いまは観光ができるぐらいに治安が回復していてびっくりです。
モガディシュなど絶対に近づけない場所だと思い込んでいましたが、もうそうではないのですね。

もちろん、そうはいっても治安が良いというわけではなく、外国人はすぐに拉致されるそうです。
観光は護衛付きのクルマの中からのみ、まるでサファリパークとのことでした。
それでも、あの無秩序に殺人や略奪が行われていた状況を考えれば、すごい改善だと思います。

人が生きのびるためには社会が必要で、それを維持していくためには秩序が必要です。
そして、人間にはそれらを構築するような力が本能的に備わっているのでしょうね。
それゆえに絶滅もせず今日まで存在し続けているのかなと、今のソマリアを知ってそう思いました。

ソマリアがあのような事態に陥ったのには、いろいろな理由があるのでしょう。
複雑な社会構造やぜい弱な経済基盤、そこに失政や自然災害などが重なったのだと思います。
それでも十数年であそこまで復興するのですから、人間とは本当にたくましいモノですね。

そして、平和を享受して77年の日本も、いつなんどきあのような状態に陥るかはわかりません。
それを肝に銘じて、今日も生きていきたいと思いますね。