田代峠アタック顛末記。

山形県最上町と宮城県加美町を結ぶ県道262号線、通称田代峠を制覇してきました。
晩秋の候、少し寒かったですが、よい走りを楽しめました。

最後に残った峠でした。

宮城出身で山形に住む私にとって、両県を結ぶ峠道の完全制覇は、若い頃からの夢でした。
R47境田峠、R347鍋越峠、R48関山峠、R286笹谷峠、蔵王エコーライン、県道13号線金山峠、R113二井宿峠といった主要な峠は、学生時代に制覇済みです。

3年前に、鬼首のペンションに行った帰りに、最北の県道63号線花立峠を攻略しました。
そして昨年、十数年ぶりに開通した二口林道を制覇です。
これで、長年の夢はついに果たされたと思ったのでした。

しかし、二口林道制覇の夜にGoogleMapを眺めていたら、県道262号線なる峠を発見。
えっ、ここにも峠があるんだ?と、愕然としてしまいました。
正直、こんなところに峠があるとは、聞いたこともありません。

いずれにしても、十数年かけての二口林道制覇は、一瞬にしてぬか喜びです。
そしてここ一年、真の完全制覇を果たすときを、虎視眈々と狙っていたのでした。

さて、その県道262号線ですが、通称田代峠というらしいです。
ネットで調べても、あまり情報が出てきません。

いろいろ調べてみると、旧日本軍の洞窟があるとか、UFOが数多く目撃されているとか。
挙句は、UFOがらみで自衛隊機が墜落したとの噂もある、ミステリースポットのようです。
GoogleMapでみても道は細くストリートビューもありません。
なんとも、ビビらせてくれる展開ですね。

というか、それ以前にこの田代峠は、自宅からちょっと遠いのが難点です。
もちろん、ガレガレの未舗装路なので、アタックするのはカブになります。
となると、入り口にたどり着くだけで2時間近くはかかるでしょう。
ましてや、全線制覇となると丸一日コースになりそうで、二の足を踏んでいました。

でも、気づけば今年も11月末、年内にケリをつけるのならワンチャンスです。
そして、勤労感謝がらみの三連休、チラッと時間ができたので攻略してきたのでした。

カブで旧街道を行くのは快感です。

ちょっと野暮用をすませたりで、11時半の出発になりました。
まずは、日暮れまで帰ることを目標に、現地に向かうことにします。
峠の入り口になる最上町は赤倉温泉を目指して、カブを走らせます。

赤倉温泉は、山形市から直通で約65kmです。
大きいBikeなら朝飯前の距離ですが、カブだとそこそこロングですね。
小春日和の中、昭和の香りが色濃く残るR13旧道を、ぽっくらぽっくら北上していきます。

それにしても、カブで旧道というのは、本当に快感ですね。
ぶっちゃけ、各市町村の懐事情まで手に取るように分かってしまう感じです。

天童、東根、村山と北上し、尾花沢から山刀伐峠を目指します。

山刀伐峠は、かつて芭蕉も通った古の峠道ですね。
ここも、過去に何度も通っていまずが、カブで臨むのは初めてです。
クルマや大型Bikeと違い、カブの速度だと街道の息遣いのようなモノが感じられました。

山刀伐峠のトンネルを抜けると、いよいよ赤倉温泉です。

ちなみに、写真左側の電話ボックスには、夜中に幽霊がいるらしいです。
まぁ、トンネル出入り口あるあるですね。
もちろん、この写真にはそんなモノは写っていないのでご安心ください。

激シブの赤倉温泉で給油です。

ということで、予定よりも30分ほど早く、赤倉温泉に到着しました。
これならなんとか、田代峠アタックができそうです。

赤倉温泉街に入ったのは初めてでしたが、渋いところですね。

「クラブ食堂」という場末感Maxの看板に、激しく魅了されました。
機会があったら、ぜひぜひ立ち寄ってみたいと思います。

さて、赤倉温泉についたら給油です。
実は、これができるかできないかが、田代峠攻略の大きなカギだったりします。

ENEOS赤倉SS、事前の調査では日曜日も営業しているとのことでしたが、人影がありません。
「すみませ~ん!」と声をかけたら、奥から普段着のおばさんがでてきてくれました。
取り急ぎ、ここで給油しておけば、ガス欠で遭難することはないでしょう。

それにしても、スタンドで制服着てない人から給油してもらうのって、昭和の頃以来です。
スタンドのおばさんに田代峠までの道を確認し、いよいよアタック開始です。

ついに、田代峠を制覇しました。

赤倉温泉から峠に向かってしばらくは、なかなかの快走路です。
7~8分ほど走って、ようやくダートエリアに突入しました。

途中、四輪バギーの集団とすれ違います。
道端に冬季通行止の看板がありましたが、峠は開通しているようです。

ところが、ガレガレの峠道を登っていくと、突然ゲートが現れました。
やはり、冬季通行止になっているようです。

でも、どう考えても道路に雪などなさそうです。
ここは自己責任で、ゲートの右側から通過しました。
こんなとき、軽量小型のカブは最強です。

その後も、ガレガレの峠道を登っていきます。
途中、悩ましい分岐路が何度か出現しました。
この辺りはスマホの電波が入らないので、GoogleMapなどで進路確認ができません。
本当に、看板がなかったら途方に暮れるところでした。

そして、ガレ道を登ること20分、ようやく県境のゲートに到着です。
もちろん、こちらのゲートも右側から通過しました。

標識ひとつない、実にあっさりとした県境です。

というか、峠自体がとてもあっさりしていますね。
急峻な二口林道などと比べると、本当にただの林道という感じです。

せっかくなので、いろいろと写真撮影しました。

県境には、墜落死した自衛隊員の慰霊碑もありました。
山奥にもかかわらず、きちんとお花が添えてありました。

ここで野点のコーヒーとも思いましたが、もたもたして日が暮れたら一大事です。
GoogleMapで確認した限りでは、R347まではまだまだ距離がありそうでした。
ということで、再びカブに跨り、ガレ道を宮城側に下っていきます。

でも、越県の峠道にしては、なだらかですね。
道中の遠景も、とても穏やかな感じでした。

そして峠を下ること20分、突然、舗装された広い道路にでました。

この舗装された道路は、嬉しい想定外ですね。
なんとか日暮れ前に帰還できる目途がついて、一安心しました。

帰り道は、初冬の雰囲気でした。

ということで、あとはR347に向けて降りていくだけです。
標識がほとんどない中を、スマホ片手にあちこち迷いながら、なんとかR347に合流しました。

このR347鍋越峠も、以前はなかなかの酷道でした。
久しぶりに通ったら、超快適ワインディングになっていてびっくりです。

鍋越トンネルを通って、サクッと山形側に戻りました。

あとから調べたら、今は鍋越峠も通年通行ができるようです。
やはり、時代は進化していますね。

尾花沢のコンビニで小休止して、帰路につきます。
バイパスから望む夕暮れが、もはや初冬の雰囲気でした。

宮城-山形間のすべての峠を制覇しました。

自宅には、日が暮れる前に戻ることができました。
泥だらけの足回りが、田代峠制覇の証です。

全行程177km、カブでこれだけの距離を走ったのは初めてです。
寒さでちょっとくたびれましたが、とても達成感のある走りができました。

いずれにしても、これにて宮城-山形間のすべての峠を制覇です。
達成するのに、35年かかりました。
若かりし頃からの想いが実って、ちょっと感慨深いですね。

そして、あらためて、峠とは通るべきところに通るモノなのだと思いました。
古からの、人間の往来に対する情熱を感じる旅でした。

ということで、今年はこれが実質的なラストランになりそうです。
シーズンの最後に、こんなよい走りができた私は、やはり幸せ者ですね。
来年は、福島-山形間の完全制覇に向けて、走り続けたいと思います。